「ギランバレー症候群」とは?原因や症状、治療法は?リハビリは必要?
「ギランバレー症候群」
あまり聞きなれない疾患ですよね。
ウイルスや細菌などへの感染が引き金となり発症する疾患ですが、
最近では、蚊を媒介として発症する“ジカウイルス”への感染に関連して発症した
「ギランバレー症候群」の患者が報告されています。
「ギランバレー症候群」とは、
“急性に発症する多発性の神経炎”です。
人口10万人に対して、年間1〜2人の発症するとされており、
特に高齢者と若年成人に二峰性のピークを認めます。
多発性の神経炎によって、
主として筋肉の運動を司る運動神経が障害されることで、
歩行を始めとした日常生活動作に支障をきたします。
また、重症例では呼吸筋の麻痺が生じ、命を落とす場合もあります。
ギランバレー発症患者の8割は完全回復に向かい、
比較的予後は良いとされますが、
後遺症を残すこともあるため、侮ることのできない疾患です。
また、日本においては特定疾患に指定されている難病です。
そこで今回は、「ギランバレー症候群」の原因や症状、治療法に加えてリハビリの必要性などについて解説します。
「ギランバレー症候群」とは?
「ギランバレー症候群」とは、
“急性に発症する多発性の神経炎”です。
障害される神経は、
主に末梢神経であり、神経の脱髄または軸索障害を主体とする自己免疫疾患の一つです。
複数の末梢神経が障害されることも特徴の一つです。
年間、人口10万人に対して、1〜2人が発症されると推定されており、
高齢者と若年成人に二峰性のピークかつ、男性に多い疾患です。
「ギランバレー症候群」の原因は?
「ギランバレー症候群」の原因は、
各種ウイルスや細菌の感染が引き金になると言われています。
60%以上の症例で、何らかの先行感染が認められています。
インフルエンザやマイコプラズマ肺炎といった馴染みの深い感染などにも注意が必要です。
→インフルエンザ|症状や種類や対策|予防接種は必要か
→マイコプラズマ肺炎|症状や治療は|子供は注意
「ギランバレー症候群」の症状は?
前述のように発症の1〜2週間ほど前に、
風邪症状(発熱・頭痛)や消化器系(下痢)の症状を呈します。
「ギランバレー症候群」発症後は、
四肢抹消の筋力低下が左右対称性に急速に進行し、通常2〜4週間でピークに達します。
同時に顔面の筋力低下(50%で生じる)や、構音障害や嚥下障害、
外眼筋麻痺による複視などが生じます。
重症例では、呼吸筋麻痺を合併し(10〜20%程度)、命の聞きにさらされることがあります。
ただし、通常では3〜6ヶ月で快方に向かいます。
運動障害に比し、感覚障害が軽度であることも特徴の一つです。
「ギランバレー症候群」の治療は?
「ギランバレー症候群」の治療法は、
・免疫グロブリンの大量静脈注射
・血漿交換療法
が有効な方法とされています。
免疫グロブリンの大量静脈注射では、
連続5日間の点滴治療であり、人の血液から精製された免疫グログリンを投与します。
副腎皮質ステロイドとの併用によって、より高い効果が得られるとされています。
また、早期から行う方が良い結果が得られやすいです。
血漿交換療法は、
血液中の”血漿”を分離することで、中に含まれる疾患の原因物質を除去します。
特殊な設備が必要であり、高齢者や子ども、自律神経障害や循環不全の合併者などは治療できないという欠点もあります。
リハビリは必要?
「ギランバレー症候群」の治療には、
前述した方法に加えて、
リハビリテーションが有効であるとされています。
四肢の筋力低下に対する筋力強化や、
不動から生じる関節の可動域低下に対する関節可動域訓練、
呼吸機能低下に対する呼吸管理や排痰、腹式呼吸の指導などが行われます。
これらのリハビリテーションは、
後遺症を残さずに早期に社会復帰するために非常に重要です。
ただし、高負荷の運動では末梢神経の再生を阻害することがあり、
低負荷・高頻度での運動を行うことが原則とされています。