「アルツハイマー型認知症」とは?早期診断・治療の可能性は?
2016/12/10
アルツハイマー型認知症は若年から高齢者に至るまで、いつ、誰が発症するか分からない病気です。
今後、超高齢社会を迎える日本では、
これらの疾患に対する対応(治療や介護)は医療制度または社会保障制度の面でも非常に重要と言えるでしょう。
今年発表された厚生労働省の調査では、全国で認知症を患う患者の数が2015年には700万人を超えるとの推計値を発表しました。
65歳以上の高齢者のうち、実に5人に1人が認知症に羅患する。
ということになります!
※認知症のすべてがアルツハイマー型ではなく、アルツハイマー型の認知症はその5割以上と言われている。
そんな中、米国ロックフェラー大学らの研究グループは、2015年3月16日、血液検査によってアルツハイマー病の早期診断ができる可能性があるとの論文「Changes in blood-based molecular pathway identified in Alzheimers disease」を米国科学アカデミー紀要で報告しました。
もしこれが一般化すれば、アルツハイマー型の認知症の早期診断・治療が可能となり、非常に画期的な成果となるでしょう!
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アルツハイマー型認知症とは?
アルツハイマー型認知症は認知症の中でも一番多く、男性よりも女性に多く見られます。
認知症には、脳血管性の認知症の患者もいますが、
アルツハイマー型の認知症患者は増加傾向にあるとの報告があります。
アルツハイマー型の認知症はβアミロイドタンパクとタウと言われる蛋白質が脳の神経細胞に蓄積し、
神経細胞が破壊され脳が萎縮することで脳機能が低下すると言われています。
アルツハイマー型認知症の症状
特徴的な症状として、記憶障害・判断能力の低下・見当識障害・遂行機能障害などが出現します。こ
れらは中核症状と呼ばれ、脳の機能にある程度依存した症状と言えます。
そのほかにも様々な周辺症状と言われるものも出現します。
例えば、徘徊・もの盗られ妄想・暴力やかんしゃくなど非常に多くの症状が出現します。
ただし、これらの出現は個人差があり、周辺の環境や家族、またはその個人に関わる周辺の状況によって変わるのです。
認知症であると記憶障害によって何度も同じことを聞いてくることもあります。それに対して怒ったり、怒鳴ったり、喧嘩のようになっていたら、その方は介護拒否や暴力を振るうようになってしまうかもしれません。
アルツハイマー型認知症の治療
基本的には薬物療法が中心となります。
ただし、日本で現在の病気の進行を遅らせることができる投薬が中心となります。
アメリカでは進行を抑える画期的な薬も開発されています。
そのほかにも運動と関連させたリハビリテーションで行われる「運動療法」も有効とされていますが、
はっきりとその効果や有効性が示されていないのが現状です。
アルツハイマー型認知症の早期診断
「物忘れが出てきた」「毎日同じことを言っている」
など、気づいたことがあれば病院に行き早期診断を受けることが重要です。
現在では全国に「物忘れ外来」や「認知症外来」があり、診断を受けることが可能です。
また、前述したように、簡単な血液検査によってもアルツハイマーが早期に発見できるようになります。
筑波大学の研究チームは、アミロイドを脳内から出す蛋白質を計測することで初期のアルツハイマーを80%の制度で発見できるようになったということです。
研究は2001年から1000人近い高齢者を対象に行ったそうで、
4月から自由診療で実用化が始まっています。
約5ccの血液で検査することができ、将来の発症を予測したり、早い段階から治療を行うことが出来るそうです。
まとめ
アルツハイマー型の認知症についてまとめました。
医学の進歩によって簡単な血液検査でも早期診断・早期治療が可能になるという画期的なニュースもありました。
自分の両親や配偶者など、身近な人物がいつ、何時発症するか分からないのがアルツハイマー型認知症です。
その時の医療や介護の必要性などを考えると、周りの人たちのライフスタイルなども大きく変更せざるを得ない状況になることも多いそうです。
今からきちんと対策を立て、その時に備えて準備をすることが必要ですね。
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