ハンセン病とは?原因や症状は?その歴史的背景は?
近年でもニュースなどで耳にすることが多い「ハンセン病」
古くより、隔離政策によって苦しめられたハンセン病回復者達と、政府との戦いがあり、まだまだ越えていかなければならない課題もあるそうです。
ところで、皆さんは「ハンセン病」を正しく理解していますか!?
ハンセン病は、
「らい菌」に感染することによって発症する感染症です。
歴史的には大変古くより存在する病気で、
紀元前2000年頃のエジプトや中国の古書においても、ハンセン病の記載があります。
現在でも日本において数名ではありますが、新規患者が確認されています。
日本では、以前「らい」や「らい病」と呼ばれていましたが、現在では差別的な用語として「ハンセン病」という呼び名に変えられています。
ハンセン病はかつて、らい予防法によって強制的な隔離政策をとられており、長い間、人権侵害をされ続けたという背景があります。
今回は、その歴史的な背景に触れながら、ハンセン病の原因や症状、治療法などについて共有します。
ハンセン病とは?
ハンセン病とは、抗酸菌の一種である「らい菌」によって感染する感染症です。
1873年にらい菌を発見したノルウェーの医師「アルマウェル・ハンセン」に由来します。
実際には、大昔より存在する病気で紀元前2000年頃のエジプトや中国の古書においても、ハンセン病の記載があるほどです。
日本では、かつて「らい」や「らい病」などと呼ばれ、
強制隔離などの政策をとられていたことから、これらの呼称は差別的な用語として印象も強く残っています。
世界におけるハンセン病の新規患者数は年間25万人と言われていますが、日本では年間に数名程度で、非常に稀な疾患となっています。
ハンセン病の原因は?
ハンセン病の原因は、「らい菌」に感染することです。
結核菌と同様の抗酸菌という一種です。
→結核とは?その原因や症状、感染経路は?治る病気なの?
らい菌の保有者の鼻汁や組織の浸出液が感染源となり、飛沫感染が主な感染ルートです。
ただし、その感染力は、非常に弱く、らい菌と接触しても95%は自己免疫で防御可能なのです。
しかし、小児期や体力が低下しているなどの全身状態によって、感染するのです。
現在の日本のように、十分な栄養を取り、衛生的な社会における感染は非常に稀となったのです。
ハンセン病の症状は?
ハンセン病は皮膚と末梢神経の疾患です。
初期には、皮膚の知覚症状として
・触覚
・痛覚
・温度覚
の異常を生じるとともに痺れや紅斑、結節が生じます。
そのうちに、
・眼症状
・神経因性とうつう
・脱毛
・筋萎縮
・変形
・運動障害
などが生じるようになります。
ハンセン病の治療は?
ハンセン病の治療は、主に薬剤療法です。
多剤併用療法(MDT)による治療を行い、おおよそ1〜2年かんの服用を続けます。
もちろん現在ではハンセン病は治る病気とされていますが、
早期発見・早期治療が重要であり、確実な内服を行うことで後遺症を残さずに済むことになるのです。
ハンセン病の歴史的背景とは?
かつて日本では、ハンセン病患者に対して、ハンセン病療養所に強制的に入所させました。
いわゆる隔離です。
その収容所では、ろくな治療も行われず、患者同士での看護や作業などを強いられ病人としての扱いは受けなかったそうです。
そんな中で1930年、世界では「ハンセン病」が特殊な疾患ではなく、伝染力や発病力も弱い疾患であり、隔離ではない治療を推進する「らい予防原則」が確認されました。
しかしながら日本ではそんな流れと逆行するかのように、
ハンセン病は恐ろしい病気で、伝染する病気として扱い、
「国の恥」として考えるようになっていたのです。
事実、患者が隔離され、出て行った家を真っ白に消毒するなどの行動を起こしていたものもいたそうです。
終戦後の1947年より、アメリカから輸入した「プロミン」という薬によって「治る病気」になりましたが、
一度植え付けられた差別の意識や偏見はそう簡単には消えません。
長い間、多大な人権侵害を受けたハンセン病患者と回復者たちと政府との戦いは、今でも多くの課題を残しているようです。
まとめ
今回は、ハンセン病の原因や症状、治療法などについて共有しました。
ニュースなどではよく耳にする疾患ですが、特に若い人たちは実際にどんな病気なのかを知らない人も多かったのではないでしょうか!?
実は映画「もののけ姫」の中の、たたら場の包帯姿の方々こそがハンセン病の患者を描いたのだと宮崎駿監督も明かしていました。
宮崎駿監督は、「『もののけ姫』を作りながら、ハッキリと業病といわれた病を患いながらちゃんと生きようとした人たちのことを描かなければいけないと思った」そうです。