高齢者の「脱水症」その原因や症状とは?
“脱水”
一般的には、炎天下に運動などをして大量の水分が奪われた時に生じるものと認識があると思います。
しかしながら、激しい運動などをしない高齢者なども「脱水症」には注意が必要なんです。
病院に入院中などでもしばしば認められるのが、
「脱水症」です。
看護師や医師の監視下であり、
かつリハビリテーション以外の運動をあまり行わない入院中の患者であっても生じることがあるのです。
一般的には、多量に汗をかいたりすることで生じると考えられていますが、
実はそれだけでなく、
高齢者には「脱水症」になりやすいいくつかの身体的な特徴や、
危険因子が存在するのです。
そのため、自宅で生活している高齢者などでも、
夏のみならず冬においても注意が必要なんです。
そこで今回は、意外と気付きにくく対処が遅れがちな高齢者の「脱水症」の原因や症状などを解説します。
Contents
「脱水症」とは?
「脱水症」とは、
身体に含まれる“体液”の量が低下している状態です。
もう少し具体的に解説すると、
通常身体には、およそ60%を占める水分とミネラル(電解質)、さらにはたんぱく質などが存在し、生命維持に関与しています。
脱水症では、この身体内の水分とミネラルであるナトリウムが不足している状態を指すのです。
身体内の水分は、
下痢や嘔吐などにより水分以上に電解質が失われた際に生じる“低張性脱水”や、
体内の水分だけが不足する“高張性脱水”などがあります。
高齢者が「脱水症」になりやすい原因とは?
一般的に運動量が少ない高齢者においても注意が必要な「脱水症」には、
どのような原因があるのでしょうか?
元々の水分量が少ない?
高齢者は、成人に比べて元々身体における水分量が少なく、
少量の汗でも脱水症の原因となります。
食欲不振などが生じた場合には特に注意が必要です。
筋肉量が少ない?
高齢者は、加齢に伴って筋肉量が低下しています。
筋肉は身体の中でも水分を多く含んでいるため、
筋肉量の低下は脱水の危険因子となります。
腎臓の機能が低下している?
高齢者に見られる腎臓の機能低下は、
水分や電解質を再吸収することを困難にし、結果として体内の水分を喪失してしまいます。
腎臓の機能は加齢に伴い低下するとも言われています。
利尿剤を使用している?
心臓の疾患などをはじめとして、
水分の過剰な貯留を防ぐため”利尿剤”などを使用している場合、
体内の水分が過剰に失われてしまうことがあります。
喉の渇きを自覚しづらい?
喉の渇きを感じるのは、視床下部に存在する”口渇中枢”です。
加齢に伴い口渇中枢の機能低下が生じ、
喉の渇きを自覚しづらくなるので、水分接種がおろそかになってしまうのです。
意図的に水分を摂取しない?
高齢者といえば、夜間の頻尿が大きな問題となっている人も少なくありません。
夜間のトイレは転倒のリスクがある…
夜間のトイレのせいで眠れない…
などの要因から意図的に水分を摂取しない人も少なくないのです。
高齢者の「脱水症」の症状とは?
高齢者の脱水の症状では、
身体のあらゆる部分に生じます。
まず、脱水ということで身体の水分が失われ、
皮膚や舌が乾燥し、皮膚の弾力が低下します。
また、体温調節能力が低下し、発熱を起こしたり、意識が朦朧としてぐったりとしていることがあります。
このような段階で発見できれば良いですが、重症化すると以下のようなリスクが生じます。
・脳梗塞
・心筋梗塞
などの血液疾患です。
これは、血液に含まれる水分が喪失するため、血液の濃度が濃くなることで血管での狭窄や閉塞を招くのです。
【脳梗塞】に関する記事
→脳卒中とは?脳梗塞と脳出血とは違うの?
→脳梗塞の治療法「t-PA」ってどんな薬剤?その適応は?
【心筋梗塞】に関する記事
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→心筋梗塞|冬はリスクが高い|予防方法や対策は
まとめ
今回は、意外と気付きにくく対処が遅れがちな高齢者の「脱水症」の原因や症状などを解説しました。
自分から症状を訴えることが出来ない高齢者は、特にリスクが高いと言えます。
一日に必要な水分は2.5Lとも言われており、食事から摂取できる量を除くと、
約1.2L程度は飲み物から摂取しなければなりません。
医療従事者はもとより家族がいつもの様子との違いに気づいたり、
予防の観点から日頃からの水分摂取や、適切な室内温度の維持なども重要と言えます。