骨折後のリハビリをしないとどうなるの?
「骨折をした」
大抵の場合は入院し、手術を受ける場合もあれば受けない場合もあります。
では、リハビリテーション(リハビリ)は受けるべきなのでしょうか!?
骨折の診断を受けた場合、大きく分けて
手術をせずにそのまま治す(保存療法)か、
手術をして整復をして治す(手術療法)かの二通りの選択が医師の診断の元、行われます。
いずれの場合にかかわらず、
最近ではリハビリテーション(リハビリ)を受けることが一般的となっており、
リハビリを担当する療法士とともに機能回復を目指します。
一昔前は、手術をしたり骨折をした場合には安静にして過ごしていましたが、
最近では術後翌日からリハビリテーションを開始するなど、
不要な安静はむしろ害であることが当たり前とされています。
(まだまだ安静にすべきだという高齢者はたくさんいますが…)
では、このリハビリテーションは受けなかった場合には、
果たしてどのようになってしまうのでしょうか!?
そもそもリハビリテーションは何のために行う?
骨折の治療の場合、
リハビリテーションを行うことで骨折そのものが治るわけではありません。
保存療法にしても、手術療法にしても骨折部の整復を行なった後の回復は個人の自然回復能力に依存します。
では、リハビリテーションは何のために行うのでしょうか!?
そもそもリハビリテーションという言葉は、
「re=再び、habilis=適した」
というラテン語の造語であり、“再び適した状態になること”という意味を持ちます。
そのため、骨折後の場合、再び社会に出たり、歩くことを促したり、その人その人が再び(または新たに)あるべき姿に戻ることを支援することを意味します。
骨折後の多くの人は術後の痛みによる不動や活動量の低下から全身的に筋力の低下や関節可動域に制限を来したりすることあります。
(これを廃用症候群と言います。)
また、そもそも骨折に至る原因として身体機能の低下があった場合には、
再びそのような状態に陥らないために身体機能の改善や環境要因の改善(段差が多い家や、一人暮らしである etc…)が必要である場合があります。
このように、骨折をしたその人が“再び適した状態”になることを支援することがリハビリの役目なのです。
具体的には、筋力訓練やバランス訓練、歩行訓練などを行うことがあります。
リハビリテーションを行うのは誰?
リハビリテーションとは、
先に述べたような概念的な言葉であり、それらの達成を促すためにサポートするのが、
以下のリハビリテーション専門職とも呼ばれる療法士です。
・理学療法士
・作業療法士
・言語療法士
この中でも骨折後のリハビリテーションに関係するのが、
理学療法士、作業療法士であります。
理学療法士は、Physical Therapist(PT)と呼ばれます。
日本理学療法士協会の定義によると、
ケガや病気などで身体に障害のある人や障害の発生が予測される人に対して、基本動作能力(座る、立つ、歩くなど)の回復や維持、および障害の悪化の予防を目的に、運動療法や物理療法(温熱、電気等の物理的手段を治療目的に利用するもの)などを用いて、自立した日常生活が送れるよう支援する医学的リハビリテーションの専門職です。治療や支援の内容については、理学療法士が対象者ひとりひとりについて医学的・社会的視点から身体能力や生活環境等を十分に評価し、それぞれの目標に向けて適切なプログラムを作成します。
理学療法士を一言でいうならば動作の専門家です。寝返る、起き上がる、立ち上がる、歩くなどの日常生活を行う上で基本となる動作の改善を目指します。関節 可動域の拡大、筋力強化、麻痺の回復、痛みの軽減など運動機能に直接働きかける治療法から、動作練習、歩行練習などの能力向上を目指す治療法まで、動作改 善に必要な技術を用いて、日常生活の自立を目指します。
理学療法士は国家資格であり、免許を持った人でなければ名乗ることができません。理学療法士は主に病院、クリニック、介護保険関連施設等で働いています。中には専門性を生かし、プロスポーツのチームに属している理学療法士もいます。
引用元:日本理学療法士協会
また、作業療法士はOccupational Therapist(OT)と呼ばれます。
作業療法とは,作業を通して健康と幸福な生活の推進にかかわる職業である。作業療法の主目標は,人々が日々の生活の営みに参加できるようにすることである。作業療法士は,こうした成果を達成するために,人々が自らの参加能力の向上をもたらすような事柄に取り組めるようにしたり,参加をよりよく支援するための環境整備を行ったりする。
実際には、理学療法士の方がその絶対数が多く、
骨折に関与するリハビリテーションには理学療法士が関与する場合が多いです。
特に移動動作である歩行の獲得を得意とするの理学療法士です。
手先や上肢の巧緻性を求められる動作の獲得を得意とするのは作業療法士です。
結局骨折後のリハビリテーションを行わないとどうなるの?
骨折には程度や部位などによって様々な重症度があり、
一概に断言することはできません。
中には何もせずともある程度回復してしまう人もいる(若くて動ける人は改善しやすい)一方で、
短期間の不動が致命傷のように身体機能の低下を招き要介護状態になってしまう人(主に高齢者や基礎疾患を持つもの)もいます。
また、適切な筋力の回復や関節可動域の獲得がなされなければ日常生活動作に支障が出たり、
動作パターンがあまりにも粗雑で不適切なものであれば二次的な障害が出現することも少なくありません。
まとめ
今回は、骨折後のリハビリテーションに関して、誰が何を行うのか、行わないとどうなるかなどを解説しました。
「しっかりとリハビリをしてくれてありがたい」
と感謝する人がいる一方で、
「リハビリなんか意味ない」
と思う人もいたり、考え方は千差万別です。
それでも大抵の場合、半ば自動的に骨折→入院→治療(手術)→リハビリテーションの流れが確立されているため、
その必要性や意義などに関しては、当事者がきちんと医師や療法士に確認することが重要です。