「ミノムシ」に関する雑学|秋から冬の風物詩
2015/09/08
ミノムシといえば、秋から冬にかけて木にぶら下がっている姿をよく見ましたよね。
大きなミノムシを探すのに夢中になりました。
また、ミノムシのミノを剥がして、折り紙の中に入れてカラフルなミノを作るなんて実験も子供の頃によくやった実験ではないでしょうか。
最近ではそんなミノムシもあまり見かけなくなりました。
昔はよく、気にぶら下がっていたのに、いざ探そうとしてもなかなかお目にかかることもできません。
それもそのはず、実は冬の風物詩であるミノムシは全国で急速に姿を消し、絶滅を危惧される状態になっているそうです。
特に、西日本で顕著だそうで、ほとんど見られなくなってしまった地域もあるのだとか…
あれだけ身近に存在していて、懐かしい存在でもあるミノムシがいなくなってしまったらとても残念に思います。
そこで今回は、今までもあまり知らなかったであろう「ミノムシ」の生態や雑学についてまとめてみました。
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ミノムシとは
ミノムシ(蓑虫)とは、蛾(が)の幼虫を指しており、その中でも大半は最も大きくよく目立つ「オオミノガ」の幼虫です。
名前の由来は見ての通り、藁で作った雨具の「蓑(みの)」に似ていることからそう呼ばれています。
日本列島には、おおよそ20種類程度存在しています。
もともと、都会にはミノムシはあまり存在していなかったそうですが、現在
絶滅危惧に瀕していることからますますその数が減少しています。
その原因になったのは、「寄生ハエ」であるヤドリバエが海外から侵入したためだそうで、ミノムシの幼虫の頭盾の下部に産卵するそうです。
このためにミノムシは絶滅の危機に瀕しているのです。
ミノムシの一年
ミノムシは一年中ミノにくるまっているわけではありません。
そこで、ミノムシの一年での変化をみてみましょう。
【10月】
十分大きく終令幼虫になったミノムシは越冬の準備を開始します。
葉をかじって、糸でミノにかがりつけ、徐々にミノを大きく丈夫にしていきます。
これは、冬の寒さに耐えることと、害虫から身を守るためなんです。
【4月下旬〜5月上旬】
無地越冬を終えると、この時期に蛹になります。
【6月上旬】
ミノの下の口から体を外に出し、成虫が羽化します。
その後は、交尾のためにオスはメスを探して飛び回ります。
無事交尾を終えて幼虫が孵化すると、また、新たなミノを作って、越冬に備えていくのです。
ミノムシの雑学
それでは、あまり知られていないミノムシの生態について紹介します。
ミノの作り方
幼虫のミノムシは、ミノの外に出ては、糸を長く垂らして風に揺られることで、また新しい葉や枝に移っていきます。
木の葉を食べて大きくなるミノムシは、かじり取った葉っぱを糸でつなぎ合わせて大きく丈夫にしていきます。
冬眠用のミノは、内部が糸でフェルト状になっており、温度変化から身を守ることに加えて強敵から身を守る役割をしています。
そのミノの硬さはカマキリの攻撃もがっちりと防げる強度があるそうです。
子孫を残すためだけの存在①
オスのオオミノガは、羽化するとメスを探して飛び回ります。
しかし、オオミノガには口はなく、餌を食べることもしません。
一方で、メスはなかなか羽化もしません。
成虫となっても羽や手足もなく、蛹の殻の先端を押し上げるだけで、蛹の中に入っています。
頭部と胸、体の大部分である腹部に卵がいっぱい入っています。
その状態で特殊な匂いを放ち、オスを誘います。
オスはメスを発見すると、ミノの末端から腹部を差し込んで交尾をするのです。
まさしく、子孫を残すためだけに進化してきた形態なのです。
子孫を残すためだけの存在②
交尾を終えたオスは、死んでしまいます。
一方でメスは、ミノの中の蛹の殻の中に1,000個以上の卵を産卵します。
しかし、2〜3週間後、幼虫が孵化する頃にはひからびて死んでしまい、ミノの末端の穴から落ちてしまいます。
なんと悲しい結末でしょうか。
本当に子孫を残すためだけに存在しているのです。
ミノムシの糸の強度は
ミノムシもミノを作る際に自らで糸を生成します。
その量(一個に対し)はカイコの繭の1,500mに対して、わずか20cmほどの少量です。
ある実験では、風速9mまでは耐えれたとのことですが、それ以上では糸はプツリと切れてしまいます。
ある程度の風には耐えられる強度なのですね。
まとめ
冬の風物詩である「ミノムシ」についてまとめていました。
あれだけ身近にいたミノムシですが、本当に見なくなってしまいましたね。
もし、ミノムシを見つけたら、特別な存在として眺めてみようと思います。