高齢者の骨折部位|好発部位はどこ?|予防や対策は?
2016/05/13
高齢者は一般的に骨が弱くなり、骨折がしやすくなるという認識は誰しもが持っているのではないでしょうか。
もちろん、加齢によって骨は脆弱化するため、そのことに間違いはありません。
しかしながら、高齢者の骨折にはある程度、好発部位があり、特定の骨が骨折しやすいのです。
その部位とはどこでしょうか!?
以下の4つが有名な好発部位となります。
・大腿骨頸部骨折
・橈骨遠位端骨折
・上腕骨近位端骨折
・脊柱圧迫骨折
これらは、どの骨折においてもその原因は「転倒」によるものが多いです。
そして、転倒による骨折だけでなく、加齢による骨の脆弱化や、基礎疾患として骨粗鬆症を有している場合がほとんどです。
それでは、各骨折ごとに特徴をみていきましょう。
そして最終的には、予防や対策方法にまで触れてみたいと思います。
高齢者に生じやすい疾患はこちら
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大腿骨頸部骨折
大腿骨頸部骨折(だいたいこつけいぶこっせつ)とは、股関節と呼ばれる足の付け根の部分です。
大腿骨は人体の中で最も長い骨であり、その強度も高いのです。
しかしながら大腿骨の頸部と呼ばれる部分は、画像をみていただけると分かるように、ほぼ直角近くに曲がっている部分を指しており、その部分だけが直端に強度が弱いのです。
また、直角に曲がっているという形状上、剪断力に対して非常に脆弱性を示します。
尻もちを主要因として、多くの転倒によって生じ、別名「寝たきりになる骨折」などとも呼ばれております。
なお、大腿骨頸部よりやや遠位は転子部と呼ばれ、こちらを骨折した場合は、大腿骨転子部骨折となります。
いずれも程度によって手術療法が選択されます。
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橈骨遠位端骨折
橈骨遠位端(とうこつえんいたんこっせつ)とは、手の付け根にあたる部分の骨折です。手首には二本の骨がありますが、親指側の骨です。
受傷起点は、転倒などによってとっさに手をついた際に生じます。
橈骨遠位端骨折は、程度にもよりますが、ギプスによる保存療法が用いられることもあれば、手術療法が選択されることもあります。
橈骨遠位端骨折の詳しい記事はこちら
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→橈骨遠位端骨折に対する手術療法とは?
→橈骨遠位端骨折の保存療法に対するリハビリテーションとは?
→橈骨遠位端骨折に対する手術後のリハビリテーションとは?
上腕骨近位端骨折
上腕骨近位端骨折(じょうわんこつきんいたんこっせつ)とは、肩関節に近い部分で、上腕骨の付け根の部分になります。
主要な受傷起点は転倒です。
直接的に、強打した際に生じることもあれば、前方や側方に倒れ、手をついた際に生じることもあります。
治療方法は手術療法が選択される場合が多いです。
脊椎圧迫骨折
脊椎圧迫骨折(せきついあっぱくこっせつ)とは、いわゆる背骨の骨折です。
脊柱とはいくつかの小さな骨が積み重なって形成されていますが、そのいずれかが潰れるように圧壊します。
とりわけ好発部位は胸椎12番・腰椎1番と言われていますが、転倒による尻もちなどの衝撃では、どの骨に生じてもおかしくはありません。
治療方法として、手術療法の選択肢はなく、基本的にはコルセットなどを装着して安静にし、リハビリテーションなどを受けることが一般的です。
コルセットの種類や効果についての詳しい記事はこちら
→腰椎圧迫骨折の保存療法!コルセットの効果とは?
→腰椎圧迫骨折の好発部位は?再発のリスクはどのくらい?
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予防や対策は!?
上記の骨折はいずれの場合も、その主要な受傷起点は、「転倒」です。
つまり最大の予防や対策の一つは転倒を防止することなのです。
決して簡単なことではありません。
筋力をつける….
バランスを良くする….
俊敏性を高める….
いずれも間違いではないと思います。
また、骨を強くする!
なども間違いではないと思います。
ただ、いますぐ出来る現実的な対策は、杖やシルバーカーなどの福祉用具を適切に使用することではないかと思います。
適切な杖やシルバーカーなどを用いて転倒リスクを軽減させましょう。
まとめ
高齢者に多い、転倒の好発部位や予防や対策方法をまとめてみました。
骨折はつきものと言えばつきものですが、弊害が多いのが事実です。
長時間の寝たきりで認知症が悪化した….
病院の医療費が高い….
歩けなくなった….
などなど多くの弊害が生じます。
すべての転倒を予防することはできませんが、少しでも転倒を防ぐ対策をしていきましょう。