「せん妄」とは?認知症とは違うの?術後は要注意?
2016/12/10
「病院に入院したら、父が急に訳の分からないことを言ってる」
という経験がある人もいるのではないでしょうか?
“認知症”になった…?
多くの場合そう感じてしまうかもしれませんが、
もしかしたら「せん妄」なのかもしれません。
「せん妄」とは、
“意識混濁に加えて、幻覚や錯覚が見られる状態”です。
一種の意識障害であり、
異常な言動や行動、さらには興奮状態で陥ったりと、認知症に似た状態を呈します。
せん妄の原因となるのは、
脳の器質的な障害のみならず、薬の影響や、
心理的なストレスによって発症します。
健康な人でもなることはあり、特に手術などの後に生じることが多いです。
そこで今回は、「せん妄」の原因や症状、治療法に加えて、認知症との違いなどについて解説します。
「せん妄」の原因とは?
せん妄の原因は多様に存在します。
高齢者のみならず、健常者でも起こることがあり、脱水状態や食事の摂取が不十分な際に生じることがあります。
また、環境の変化によっても生じることがあり、
入院や引越しなどの心理的ストレスが引き金になることがあります。
最も生じやすいのは、服用している薬の影響です。
パーキンソン薬やうつ薬などはせん妄が生じやすいと言われています。
これらの要因などから、特に全身麻酔を行った手術後などは、特にせん妄が生じやすい状態なのです。
なお、危険因子としては以下のような要因が挙げられます。
・認知症
・高齢
・男性
・重症患者
・うつ状態
・複数の薬物を使用
・聴視覚障害(難聴や白内障)
・アルコール常飲
・疼痛
・手術後
・身体抑制
「せん妄」の症状とは?
せん妄によって生じる症状には、
・幻覚
・興奮状態
・錯覚
・注意や集中力の欠如
・異常な行動
・異常な言動
などです。
時間や場所の認識もあやふやになり、一見、認知症と同じような症状を認めます。
ただ、意識障害と言っても、せん妄中の記憶は残っているようです。
「せん妄」と「認知症」の違いは?
せん妄の症状は、一見認知症と似ていますが、
せん妄は急激に発症することを特徴としています。
その期間は数日のこともあれば、数時間で進行することもあります。
「昨日と比べて明らかにおかしい」
そのような場合には、認知症ではなく、せん妄を疑います。
「せん妄」の治療法は?
せん妄に対する治療法は、原因となっている要因を取り除くことが重要です。
心理的なストレスとなる要因はないか、
脱水や食事摂取不足はないか、
体調管理は行えているか、
さらには、投薬の状況を見直し、必要によって抗精神病薬を使用します。
何よりもせん妄にならないための予防が重要であり、
事前の聴取によって危険因子を有しているなどの場合は、あらかじめ原因となるような要因を取り除いておくことが予防につながります。
まとめ
今回は、「せん妄」の原因や症状、治療法に加えて、認知症との違いなどについて解説しました。
症状が生じた場合、心理的に穏やかな状況を作り出す工夫をしましょう。
間違ってもさらなる興奮を招くような態度や言動を避けるようにしましょう。
そして、自宅などでそのような症状が出た場合には、速やかに認知症専門医などの受診を受けるようにしましょう。
「認知症」に関する記事はこちら
→「認知症」の定義とは?代表的な検査法は?何点からが認知症?
→認知症の種類|脳血管性認知症とアルツハイマー型認知症の違い