「シャイ・ドレーガー症候群」とは?予後やリハビリテーションの方法とは?
難病と位置付けられ、
根治的な治療方法が確立されていない病気もまだまだ数多く存在します。
その中の一つに、「シャイ・ドレーガー症候群」があります。
「シャイ・ドレーガー症候群」は、
脊髄小脳変性症の病型の一つであり、
・オリーブ橋小脳萎縮症
・線条体黒質変性症
とともに、【多系統萎縮症】の中の一つとされています。
従来はこれらの疾患は別々として扱われ、
1986年以降、特定疾患にも認定されています。
しかしながら、脳に認められる組織学的な変化に共通点があることから、
多系統萎縮症として一括りになったのです。
同じ病名でありながら、それぞれで強く認められる症状が異なっており、
「シャイ・ドレーガー症候群」では、
自律神経症状が主体とした症状が発現します。
今回は、多系統萎縮症の中の一つの病型である「シャイ・ドレーガー症候群」について解説します。
Contents
「シャイ・ドレーガー症候群」とは?
「シャイ・ドレーガー症候群」は、
・オリーブ橋小脳萎縮症
・線条体黒質変性症
とともに、【多系統萎縮症】の中の一つの病型とされています。
特に自律神経系の症状が主体であることが特徴です。
主に男性の発症率が高く(女性の3〜5倍程度)、40歳〜60歳代に好発します。
また、遺伝する例は少なく、主には孤発性です。
多系統萎縮症の中ではおよそ16%程度をしめています。
発症原因など、詳しい要因は明らかになっておりません。
「シャイ・ドレーガー症候群」の症状とは?
自律神経症状が特徴である「シャイ・ドレーガー症候群」ですが、
実際にはどのような症状が出現するのでしょうか!?
自律神経症状とは、
以下のような症状を指します。
・起立性低血圧
・汗、唾液、涙などの分泌障害
・インポテンツ
・便秘
・排尿障害(主に尿閉)
このような症状は比較的早期より発現し、
特に起立性低血圧は中心的な症状となります。
ただ、特徴的な自律神経症状のみならず、
小脳障害やパーキンソニズムなどの症状も後々加わってきます。
「シャイ・ドレーガー症候群」の治療とは?
「シャイ・ドレーガー症候群」を根治させる治療法は確立されていません。
基本的には症状に対する対症療法です。
起立性低血圧や、排尿障害などの自律神経症状に対しては、
薬物療法が中心です。
ただ、薬物のみで全て賄えるわけではなく、
リハビリテーションを継続したり、様々な代償手段を用いて、
少しでも長く日常生活を継続させることが重要です。
「シャイ・ドレーガー症候群」の予後は?
「シャイ・ドレーガー症候群」は、
緩徐ながら進行性の経過を辿ります。
起立性低血圧が重度になり、
起き上がることができなくなり、寝たきりに近い状態になってしまうと、
全身的な体力や抵抗力が減少し、
様々な合併症によって命を落とすリスクも増加します。
一般的に生存率は10年以内とされています。
「シャイ・ドレーガー症候群」のリハビリテーションは?
「シャイ・ドレーガー症候群」は、
難病ゆえ、治療法が確立されておらず、リハビリテーションを行うからといって病気自体が治るわけではありません。
ただ、少しでも長く、日常生活を維持したり、より良い生活を目指す上で非常に重要となります。
例えば、主要な症状である起立性低血圧に対しては、
基本的には薬物を用いた症状のコントロールに加えて、
G-upなども含めた離床の回数を増やすことで、血液動態の変化に対する身体の適応力を高めます。
また、寝たきりなどの活動量の低下に対して、
全身的な運動や可動域訓練、耐久性訓練などによって、身体の基本的な活動力を維持・向上します。
もちろん、起立や歩行訓練など、実際の動作を行うことで動作能力の維持・向上を図ることも重要となります。
原疾患によって、身体機能を大きく低下させてしまうことが様々な合併症などを招く要因いなるので、
それらの機能を維持・向上させるためにもリハビリテーションは非常に重要となります。
【多系統萎縮症】に関する詳しい記事はこちら
→「多系統萎縮症」とは?リハビリテーションはなぜ重要?