「エイリアンハンドシンドローム(他人の手症候群)」とは?原因は脳卒中?症状や治療法とは?
「エイリアンハンドシンドローム」
世にも奇妙な疾患名ですが、どのような症状が出現するかイメージが湧くでしょうか!?
実際に、にわかに信じられないような症状が出現する疾患です。
「エイリアンハンドシンドローム」
日本名では、“他人の手症候群”とも呼びます。
あまり聞いたり、観たこともない疾患かと思いますが、
主には、脳卒中に代表される脳血管障害の後遺症として生じることが多いです。
その症状は、文字通り、
“自分の意思とは無関係に腕や手が動いたり、動かなかったり…”
意図とは違う動きをする、まさに他人の手のような現象が生じます。
医療現場においても頻繁に認められる症状ではないものの、
いくつかの特定の病巣によって生じるとも言われています。
そこで今回は、「エイリアンハンドシンドローム(他人の手症候群)」の原因や症状や治療法などについて解説します。
「エイリアンハンドシンドローム」の原因とは?
「エイリアンハンドシンドローム」の原因は、
脳卒中などの脳血管障害によって特定の脳領域を損傷された場合に生じます。
脳卒中の詳しい記事はこちら
→脳卒中とは?脳梗塞と脳出血とは違うの?
→脳卒中片麻痺|右片麻痺と左片麻痺の違いは!?
主に前頭葉の内側や後部頭頂皮質、さらには脳梁などが責任病巣として知られています。
特に左右の脳の相互連絡を行う脳梁の損傷での出現頻度は比較的多く報告されているようです。
「エイリアンハンドシンドローム」の症状とは?
さて、世にも奇妙な疾患ですが、実際に生じる症状はどのようなものなのでしょうか!?
まず、主要な症状として、他人の手症候群とも言われるように、
他人の手や腕のように意図に反して動いたり動かなかったりする症状が出現します。
例えば、
・右手でものを取ろうとすると、左手で叩いてしまう
・他人と握手しようとすると、振り払ってしまう etc…
まさしく自分の意思とは無関係の行動を起こしてしまう症状です。
このほかにも、強制把握、道具の強制使用、自己抑制、両手間の対立なども自身と上肢が乖離した感覚を生じる失行症状として、
エイリアンハンドシンドロームによて生じることが明らかとなっています。
「エイリアンハンドシンドローム」の治療法とは?
「エイリアンハンドシンドローム」には、
効果的な治療法が確立されていません。
現在では、薬物治療などによって症状を抑えるなどの対症療法が行われます。
リハビリテーションの分野などにおいても、その中心は代償手段の確立が主です。
ただ、1年程度の期間を経て、約7割近くの患者で症状の改善が認められるという報告があります。
また、非損傷側に対する低頻度反復性磁気刺激治療と作業療法との併用による効果も示されたりしていますが、
確立されたには至らず、今後の更なる有用な治療法の開発が待たれます。
まとめ
今回は、「エイリアンハンドシンドローム(他人の手症候群)」の原因や症状や治療法などについて解説しました。
世にも貴重な名称の疾患は、実際に世にも奇妙な症状を発現します。
何よりも原因となる脳卒中などに罹患しないために生活習慣の改善などが、その予防となることは間違いありません。
脳卒中のリハビリに関する記事はこちら
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