杖の種類や特徴|適応や杖の選び方
2016/08/17
高齢化社会を迎えている今、街でもたくさんの高齢者の方を見かけます。
今にも転びそう….!!
一見そんな風にも見える方もいますが、歩行や、バランスの助けになっているものの一つに「杖」があります!
高齢者だけでなく、脳梗塞片麻痺や変形性膝関節症などの場合においてもこれらの杖は重宝されます。
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「杖」と一概にいってもその種類は多岐に渡ります。
一般的によく知られているのが、「一本杖」ではないでしょうか。
街で見かける人の多くが一本杖を持っていますね。
ただ、杖にもその人その人の能力に合わせた適応があります。
杖を持っているからといって、能力に見合っていない杖を使いこなせず、転倒…..
なんてことは避けなければなりません。
そこで今回は、代表的な杖をいくつか紹介し、その特徴や適応、選び方などをまとめてみます。
変形性膝関節症に対するサポーターに関する疑問はこちら
→変形性膝関節症にサポーターは効果がある?選び方のコツは?
T字型杖(一本杖)
T字型杖、または一本杖やT-caneなどと呼ばれ最も使用されている一般的な杖です。
杖の軸と柄の部分がちょうどT字になっていることからこのような名称になっています。
【特徴】
⚫︎ 地面との接触面は1点であり、極端な体重支持には不向き
⚫︎ 重量は軽く(200g〜500g程度)、持ち運びに便利です。
⚫︎ 伸縮タイプや折りたたみタイプなど種類が豊富
【適応】
一般的に、この杖が適応となる人は、ある程度杖がなくても歩ける人です。
軽く、腕の動きや身体の動きを妨げることが少ないため、歩行速度も減速させることなく使用することも特徴の一つです。
「今の歩きに少し不安があるのでおもまり代わりに」
「片方の足が痛いから、少し負担を軽くしたい」
このような人が適応となります。
反対に、杖に多くの体重をかけると、地面との接点が1点なので反対に不安定になりやすいので、そのような方には不向きです。
一つの目安として、杖をついた状態で身体をまっすぐに保持したまま片足立ちができるレベルの人が使用するのが良いでしょう!
たくさんの柄が用意されており、おしゃれできるのもこの杖の魅力ですね!
多点杖(四点杖)
多点杖は、主には四点杖が主流で、地面との接点が4点に分かれています。
街では見かける場面が少ないですが、多くの人が利用されています。
【特徴】
⚫︎ 地面との接触面は4点であり、体重支持には有利
⚫︎ 重量はやや重い(1kg程度)
⚫︎ 立てて置いておくことができる
【適応】
この杖の特徴はなんといっても、着床面積が広いので体重をかけても安定している点です。
体重をかけても安定しているので、杖がないと安定して立っていられないレベルの方が適応となります。
とりわけ脳卒中の後遺症や、極度の変形性の関節症の方が適応になります。ある程度杖に体重をかけるので、指や手首の力が弱い関節リウマチの方などはあまりお勧めはされません。
欠点としては、屋外では地面の凹凸のために安定しないことが挙げられます。そのために室内での使用に限定して用いることが多いです。
ロフストランドクラッチ
ロフストランドクラッチは、見たことも聞いたこともない人も多いでしょう。
やや専門的な分野に特化した杖になります。
【特徴】
⚫︎ 地面との接触面は1点である
⚫︎ 前輪に腕を通して固定することで、手の握りだけでなく、腕輪でも体重を支持することができる
⚫︎ 杖自体が長い
【適応】
この杖は地面との接点は1点ですが、手だけでなく、腕の部分でも体重を支えることができるので、かなりの体重負荷でも安定しています。
脳卒中の後遺症や、極端な筋力低下や、神経麻痺による一側下肢の機能低下などの人に適応となります。
片側よりも両側で持つとさらに安定性もよく、下肢の不全麻痺の方などにも良い適応です。
さらに多くの荷重をかけるならこの杖です。
→「サイドケイン」とは?その使い方や適応は?
まとめ
街中でもよく見る杖から、少し専門的な杖まで、その特徴や適応をまとめました。
まだまだ、変わった杖などもありますが、特殊なものはより、理学療法士などの専門職の方々にしっかりと処方してもらったほうが良いでしょう!
杖があるから転ばないわけではないと思うので、しっかりと自分に合ったものを見極め、使用していけると良いと思います。
※くれぐれも選び方に不安や自身のない方は、自分の判断だけでなく、理学療法士などの専門家に相談しましょう。
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