認知症の種類|脳血管性認知症とアルツハイマー型認知症の違い
2016/12/10
昨今は、超高齢社会とも呼ばれ、全人口に占める65歳以上の割合は今後も年々増加していく推定がなされている。
このように高齢者が増えるということは、高齢者特有の病気や疾患などへの対応が必要であり、医療費・社会保障費の面からも国全体の課題であると言える。
その中でも、とりわけ「認知症」は今後もますます増加していくであろう疾患です。
本人のみならず、家族の介護量という面でも、国の問題として捉える以前に、一世帯レベルでの課題となります。
そんな認知症ですが、一括りに認知症といっても、実は認知症にも種類があるのです!
種類によって症状も治療方法も異なることをご存知でしょうか!?
その種類とは、大きく分けて2つです。
・脳血管性認知症
・アルツハイマー型認知症
そこで今回は、2つの認知症について、その症状や治療法の違いについて解説します。
→脳卒中とは?脳梗塞と脳出血とは違うの?
→脳卒中片麻痺|右片麻痺と左片麻痺の違いは!?
認知症の種類とは
認知症には大きく分けて二つの種類があります。
・脳血管性認知症
・アルツハイマー型認知症
この中でも一般によく耳にするのは、アルツハイマー型の認知症ではないでしょうか!?
おおよそアルツハイマー型の認知症が大部分を占めています。
しかしながら、最近では、アルツハイマー型認知症の40%で脳血管性認知症の合併がみられ、反対に脳血管性認知症の40%でアルツハイマー病変を認めることが報告されています。
どういうことかというと、両者は近縁の病態を示すことが近年強調されてきています。
それでは、それぞれの病態について解説します!
脳血管性認知症
脳梗塞や脳出血などの脳血管病変後に生じる認知症のことです。
あくまで、原因がはっきりしており、その予防方法は、脳梗塞や脳出血にならないようにすることです。
それでは以下に特徴をまとめます。
【発症時期】脳血管病変後に生じる
【経過】緩徐,時に急性,階段状に進行
【自覚症状】めまい,痺れ,不眠,抑うつetc
【精神症状】
・比較的末期まで人格は保持される
・まだら認知
・病変は動揺性を呈す
【神経症状】
・片麻痺
・パーキンソン症候群
・歩行失行
【病識】末期に至るまである程度保持
【その他】感情失禁,うつ状態を伴う
【CT.MRI所見】脳梗塞や脳出血の所見
以上のような特徴がある。
その中でも、脳血管性認知症に特有なのは、「まだら認知症」です。
これは、記憶障害の割に判断力や理解力が比較的保たれていることを言います。
治療に関しては、認知症自体の根治的な改善手段はなく、対症療法が中心となります。
抗うつ薬などが用いられることが多いです。
アルツハイマー型認知症
アルツハイマー型認知症は、認知症の中で最も多くの割合を占めています。
アルツハイマー型認知症とは!?
脳にアミロイドベータというタンパク質がたまることで正常な神経細胞が壊れ、脳萎縮が生じることが原因とされています。
それでは以下に特徴をまとめます。
【発症時期】高齢になるにつれて増加
【経過】緩徐,潜行性に発症し進行
【自覚症状】健忘,自身欠如,活動性低下 etc
【精神症状】
・人格の崩壊が著明
・全般性認知症
・病変は漸次進行
【神経症状】
・進行すると、筋固縮やミオクローヌスが出現
【病識】欠如する
【その他】多幸性,多弁
【CT.MRI所見】脳のびまん性萎縮
アルツハイマー型認知症の発症には、加齢や遺伝が関係することが明らかになっており、それに加えて、糖尿病や高血圧がリスクファクターとされています。
アルツハイマー型認知症の治療方法は、塩酸ドネペジル(商品名:アリセプト)などの投薬の有効性が証明されています。
「認知症」に関する記事はこちら
→「認知症」の定義とは?代表的な検査法は?何点からが認知症?
まとめ
認知症の種類について、主に脳血管性認知症とアルツハイマー型認知症の違いについて解説しました。
その原因も症状も、そして治療方法も異なることをご理解頂けたでしょうか!?
治療可能か、そうでないのかなども大きく異なってくるため、少しでも異変を感じるような場合は早急に受診し、対応していく必要がありますね。
高齢者に関する情報はこちら
→介護老人保健施設と特別養護老人ホームの違いは?料金に違いはある?