片麻痺|姿勢の特徴とは!?
2016/02/15
脳卒中は、だれもが知っている疾患ですよね。
脳卒中は、脳血管障害と呼ばれています。
昨今では、医療の進歩から死亡率が減少するかわりに後遺症として片麻痺が残存するケースが多くなっています。
脳血管障害とは、正確には脳梗塞や脳出血、くも膜下出血の総称のことです。
詳しくはこちらの記事を参照ください!
→脳卒中とは?脳梗塞と脳出血とは違うの?
脳血管障害を患うと、後遺症として一側の上下肢や体幹(胴体)などの麻痺が残存します。
これは、いわゆる片麻痺(かたまひ、へんまひ)と言われるもので、動作能力を著しく低下させる大きな要因となります。
街中でも杖を持って歩いている人や、車椅子に乗っている人でも、
「片方の手足が動きづらいのかなぁ…」と思ったり、
ちょっと詳しい人なら、
「あれっ..麻痺があるのかな..」
なんて、一目で分かったりもします。
動きを見れば一目瞭然かもしれませんが、実は片麻痺には分かりやすい姿勢の特徴があるのです。
このような姿勢の特徴、いわゆる姿勢の偏りが生じていることにより、余計な力が特定の部位に加わることで、「肩こり」や「腰痛」などが生じることも珍しくありません。
そこで今回は、片麻痺の姿勢の特徴について解説します。
脳卒中治療に関する記事はこちら
→脳卒中後遺症にボツリヌス療法|その効果や料金は?
→脳卒中片麻痺|装具の種類や適応は?
片麻痺の姿勢の特徴とは
なぜ、片麻痺となると特徴的な姿勢が出現するのでしょうか!?
脳の障害によって、特定の四肢の運動を司る領域が障害を受けると、運動だけでなく、運動を制御している「筋の緊張」までもが障害を受けます。
「筋の緊張」の障害が生じるとどのような現象が起きるのでしょうか!?
・力を入れていないのに、特定の筋に力が入っている(力が抜けない)
・一つの関節を動かしたいのに、色々な関節が動く
・麻痺のない側の手足に力を入れると麻痺側の手や足が勝手に力が入る
などなど、多くの現象が出現します。
その中でも特に片麻痺の姿勢の特徴に関係しているものは、
「一つの関節を動かしたいのに、色々な関節が動いてしまう」ことです。
このような現象は「共同運動」などと呼ばれ、単独で関節が動かせなくなるのです。
このような現象が生じることで、徐々に特定のパターンの運動が強まり、特徴的な片麻痺特有の姿勢が構築されてしまうのです。
そのような姿勢を「ウェルニッケマン肢位」と呼びます。
脳卒中に関する記事はこちらもどうぞ
→脳卒中の前兆とは|しびれや脱力が生じる!?
→片麻痺|脳卒中後遺症|痺れの原因は?治る?
ウェルニッケマン肢位とは
それでは、ウェルニッケマン肢位とはどのような姿勢なのでしょうか!?
百聞は一見にしかず、まずはこちらをご覧ください!
このような腕や手の形を見たことがありませんか!?
基本的に上肢の筋は屈曲(曲がる)し、下肢の筋は伸展(伸びる)します。
【上肢】
肩関節:内転・内旋
肘関節:屈曲
前腕:回内
指・手関節:屈曲
肩が胴体に接し、肘が曲がり、前腕が内側へ回り、指や手首が曲がります。
【下肢】
股関節:伸展・外旋
膝関節:伸展
足関節:内反尖足
足趾:屈曲
股関節や膝関節が伸びて、やや外側へ回り、足首が下、足底は内側へ向き、足趾が曲がります。
このような姿勢で放置すると、関節が拘縮して硬くなったり、動作が画一的(パターン)となり、肩こりや腰痛などの二次的な障害をきたしやすいのです。
片麻痺の歩行に関する記事はこちらもどうぞ
→脳卒中後遺症である片麻痺歩行の特徴って…?
まとめ
片麻痺の姿勢の特徴について、ウェルニッケマン肢位を取り上げながら解説しました。
自分の意思では、コントロールできず、「姿勢を直せ!!」と言われても出来ないのです。
脳血管障害の後遺症におけるリハビリテーションの一つにもこのような姿勢や、そのような姿勢からくる動作の画一性に着目した治療がなされることがあります。
是非とも、関節の硬さや動きにくさを感じたならば、医師や理学療法士などの専門家に相談するのが良いでしょう!
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