「ヘルペス脳炎」の原因や症状は?後遺症は残る?リハビリの方法とは?
2017/02/24
「ヘルペス脳炎」とは、
ウイルス感染による脳炎であり、
“単純ヘルペス脳炎”とも呼ばれています。
後遺症が残存するケースもある疾患です。
「ヘルペス脳炎」とは、
“単純ヘルペスウイルスによる急性の脳炎”
です。
比較的重い脳炎としても知られ、後遺症を残すことも少なくありません。
臨床症状としては、
頭痛や嘔吐、痙攣発作、意識障害などに加えて、
炎症を生じた脳の機能に応じた症状が出現します。
典型例である側頭葉や、大脳辺縁系の障害では、
精神症状などをきたすことがあります。
今回は、「ヘルペス脳炎」について、
その原因や症状はどんなものか?
そして、後遺症は残るか?
それに対するリハビリの方法などについて解説します。
脳に生じる疾患はこちらもどうぞ
→脳卒中とは?脳梗塞と脳出血とは違うの?
→ワレンベルグ症候群(延髄外側症候群)の病態やリハビリテーションとは?
ヘルペス脳炎の疫学は?
「ヘルペス脳炎」は、単純ヘルペスウイルス1型(HSV-1)によって引き起こされる脳炎です。
日本における有病率は、年間100万人に3.5人程度と言われており、
毎年およそ400人程度が発症しています。
全年代に生じる可能性がありますが、
50-60歳に発症のピークが存在します。
以前は、30%以上の死亡率とされていましたが、抗ウイルス薬の導入によって10%以下に軽減しました。
ただし、様々な後遺症によって、社会復帰率はおよそ半数にとどまっているようです。
ヘルペス脳炎の原因は?
「ヘルペス脳炎」の原因は、
単純ヘルペスウイルス1型(HSV-1)による感染です。
その侵入経路として、上気道感染に続く嗅神経、さらには血液に輸送され大脳辺縁系に至ると推測されています。
その中でも、約7割から8割ほどが、HSVの再活性化によって生じると推定されています。
ヘルペス脳炎の症状は?その後遺症とは?
「ヘルペス脳炎」では、
まず発症すると、発熱や嘔吐、意識障害や痙攣発作、髄膜刺激症状などが、
必ずといっていいほど出現するといわれています。
脳炎が生じる部位によっても異なるものの、
多くが大脳辺縁系や側頭葉に生じるため、
これらの脳領域に応じた症状が出現します。
錯乱やせん妄、精神症状、記憶障害、人格変化、症候性てんかんなどがあり、
これらは後遺症として残存することがあります。
また、これらの後遺症が社会復帰を阻害し、場合によっては日常生活にも支障をきたす要因となるのです。
ヘルペス脳炎の治療法は?リハビリテーションは必要?
「ヘルペス脳炎」の治療法は、
早期より抗ウイルス薬を投与する“薬物療法”が中心となります。
アクシロビルがその第一選択とされており、
以前よりも大幅に死亡率も減少しました。
脳炎自体は収束したものの、
「後遺症が残存した…」
そのような場合にはリハビリテーションが必要となります。
罹患時に生じた不動による運動機能の低下も含めて、
記憶障害に代表されるような高次脳機能障害などに対して、
代替手段を考案したりすることで社会復帰を目的としたリハビリテーションが行われます。
高次脳機能障害はこちら
→高次脳機能障害とは|失語・失行・失認|リハビリでの回復は
まとめ
今回は、「ヘルペス脳炎」の原因や症状、その後遺症、そしてリハビリの方法などについて解説しました。
成年のみならず、小児にも生じることがあり、
周囲がその異変に気付いて、早期診断・早期治療を行うことが重要です。
ウイルスによって脳の破壊が進行してしまうと、
後遺症が生じる可能性も高くなるので、それまでに治療を開始できるかが重要なポイントとなります。