脳出血に対する手術とは?適応はある?
2016/10/30
「脳出血」は、
“脳の中の血管が破れ出血をきたす病態”です。
脳出血の治療法のひとつとして【手術療法】があります。
「脳出血」とは、
脳梗塞やくも膜下出血と並ぶ“脳血管障害”です。
日本の死因の第3位を占めるとともに、
運動麻痺をはじめ“片麻痺”と呼ばれるような後遺症を生じることでも知られます。
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「脳出血」に対する治療法として最近は再生医療などが注目されています。
しかしながら、基本的には、薬物療法やリハビリテーションによる動作学習などがその中心となります。
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脳出血における血腫が小さい場合には、自然に吸収されることもありますが、
血腫が大きく意識障害がある場合などに対しては【手術療法】が適応となります。
そこで今回は、脳出血に対する【手術療法】の種類を紹介します。
脳出血の手術療法とは?
脳出血に対する手術療法が適応となるのは、
・血腫が比較的大きい
・意識障害がある
・放置すると脳が圧迫される可能性が高い
場合などです。
具体的な方法には以下のような種類があります。
開頭血腫除去術(かいとうけっしゅじょきょじゅつ)
開頭血腫除去術とは、
脳の一部分に穴を開けて、血腫(出血の塊)を取り除く手術です。
多くは、「被殻出血」や「小脳出血」、「皮質下出血」などの場合に行われ、その手術時間はおおよそ2〜3時間程度です。
このように血腫という脳を圧迫する根本の原因を取り除くことで、二次的に生じる脳浮腫を軽減することもできます。
また、最近では、内視鏡を用いた小開頭による血腫除去術も増えています。
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CT定位的血腫吸収術
CT定位的血腫吸引術は、
CTを用いて、定位的に血腫を取り除く方法です。
具体的には、頭蓋骨に穴を開け、細い管状の器具を入れて血腫を吸引します。
血腫による脳への圧迫を早期から回避することで、
機能回復を高める効果もあります。
また、局所麻酔で十分であり、大きな開頭もしないので、比較的低侵襲であるため、高齢者などにも適応となる場合があります。
脳室ドレナージ
脳室ドレナージは、
血腫(血液)が脳室にたまることによって、脳室が拡大し、
狭窄などを起こし、水頭症などに発展した場合に行われます。
血液や膿、そして消化液などを体外に排出することを目的とします。
具体的には、頭蓋骨に小さな穴を開け、脳室内に細いチューブを留置します。
このチューブから中に溜まっている血腫を体外に排出します。
まとめ
今回は、脳出血に対する【手術療法】の種類を紹介しました。
脳出血に対する手術の多くは、
まだ意識のはっきりしない急性期に、血腫の除去を目的に行われることが多いということです。
この血腫の除去・吸収したときこそが、運動などの機能が急激に回復するポイントなのです。