脳梗塞や脳出血後は運転はできる?臨時適性検査とは?
脳梗塞や脳出血は、脳血管障害と言われ、
身体機能障害はもちろんのこと、高次脳機能障害と呼ばれる認知機能面にも障害が及びます。
いくら後遺症は軽度で済んだとしても、車の運転などは可能なのでしょうか?
超高齢社会を迎えている本邦において、
高齢者の運転による事故が増加傾向にあり、社会問題となっています。
積極的に免許証の返還などが求められています。
高齢者のみならず、脳梗塞や脳出血などの脳血管障害(いわゆる脳卒中)などを引き起こした場合はどうなのでしょうか!?
脳血管障害発症後は、片麻痺とも称される運動麻痺や、感覚障害、
さらには高次脳障害と言われる高次の認知機能の障害が後遺症として残存する場合があります。
医療の進歩は著しく、これらの障害を負っても軽症の場合も多く、見た目上はほぼ障害が残存していないような場合もあります。
運動麻痺のように、明らかに運転操作ができる?できない?などの場合を除いて、
表面上にはわからない注意障害や遂行機能障害などを有している患者も残存します。
では、このような場合、以前のように運転を再開して良いのでしょうか?
また、家族や医療スタッフはどのように対応すれば良いのでしょうか?
以前のように運転をしても良いのか?
まず、第一に忘れてはいけないのは、
もう一度運転して良いかを判断するのは、医者や医療従事者ではなく運転免許を交付する公安委員会です。
それを踏まえた上で、ある一定の疾病を患ったのちに運転を再開する場合には、
免許の停止や取り消しなどに該当する病気でないことを確認する必要があります。
2015年9月に改正された「一定の病気に係る免許の可否等の運用基準」の中では、
見当識障害、記憶障害、判断障害、注意障害等は「認知症」、運動障害(麻痺)、視覚障害(視力障害等)及び聴覚障害については「身体の障害」に係る規定等に従うこととする。
とあります。
さらに、その下には、
(エ) 「今後x年程度であれば、免許取得可能」旨の診断を行った場合(上記イ(ウ)に該当)については、一定期間(x年)後に臨時適性検査を行うこととする。
とあり、
言葉通り、臨時適性検査の後に運転を再開することが出来るのです。
運転再開までの流れ
上記のように、脳血管障害後の運転再開には臨時適性検査が必要なのが分かります。
では、その他にはどのような手順が必要なのでしょうか!?
順を追って解説します。
医師に相談し、診断書を作成してもう
脳血管障害後には、
医学的にも高次脳機能障害が軽症か、または改善していて日常生活には問題がないことが前提でなければなりません。
この証明は、主治医の診断書によってなされます。
事前に運転免許試験場か、警察署などに、臨時適性検査を受ける旨を伝え、
診断書を手に入れておきましょう。
この診断書に「運転を控えるべきとは言えない」という旨の記載が必要となります。
実際には、脳血管障害を患いリハビリテーションを行なっている最中にすでに運転の可能性が見えているのであれば早めに医師に相談しておくことでスムーズに進めることが出来ます。
また、そのことを見据えたリハビリテーションを進めていくこともできるからです。
なお、診断書の作成には幾らかの費用はかかります。
臨時適正検査を受ける
医師に作成してもらった診断書を持参し、
運転免許の試験場にて臨時適正検査を受けます。
内容としては、面談を受けた後に、運転シュミレーターで運転適正を評価します。
当然試験なので簡単に済むものではなく、
また皆症状が同じでないため、残存している後遺症に該当するような検査が行われます。
見事適正と判断されれば、免許更新となります。
まとめ
今回は、脳血管障害後の運転再開に関する手順などを記載しました。
大事なことは、運転再開の是非は医師ではなく、公安委員会が臨時適性検査の後に判断します。
しかしながら、その際には医師の判断も必要ということになります。
医師や医療従事者の立場からは、決して「運転しても大丈夫ですよ」とは言えません。(事故されて責任は負えない)
「運転はダメです」と言われればおそらく重度の障害が残存しているのでしょう。
適性検査に関しては、リハビリテーション施設によっては運転シュミレーターを完備している施設もあるようです。
もし自身がない場合にはこのような施設でチャレンジしてみるのも一つの手ではないでしょうか?
というのも、一つのミスが重大かつ悲惨な結果を招くことが十分に考えられるからです。
思い切って車を捨て、移動手段を公共交通機関に切り替えるのも大事な決断かと思います。
脳血管障害に関する記事はこちら
→脳卒中とは?脳梗塞と脳出血とは違うの?
→片麻痺|脳卒中後遺症|痺れの原因は?治る?