頚椎症性脊髄症とは?その病態や手術方法は?術後のリハビリテーションとは?
2015/12/22
脊椎の中の脊柱管の中には、全身の筋肉を支配する神経や、外界からの刺激を受容する感覚機能をつかさどる神経、いわゆる脊髄が通っています。
加齢や、事故など様々な原因で、これらの脊柱管が狭窄をきたすことで多様な疾患があることをご存知ですか?
今回は、その中でも【頚椎症性脊髄症】を紹介します。
首には、首を構成している頚椎と言われる7個の脊椎が存在しています。
頚椎の中を通る脊柱管の中で、何らかの原因で脊髄が圧迫される病態を【頚椎症性脊髄症】と呼びます。
誰にでも生じる可能性がありますが、とりわけ脊柱管狭窄症のある人は発症しやすいと言われています。
その他にも、頚椎同士を連結する椎間板の変性や破綻によって、椎骨自体の変形や靭帯の肥厚なども脊髄を圧迫する原因となります。
治療方法では、圧迫された脊髄への圧力を取り除く手術を行い、術後はリハビリテーションを実施します。
放置すると歩行まで困難となる非常に恐ろしい疾患です。
そこで今回は、頚椎症性脊髄症の病態や手術方法、そして術後のリハビリテーションなどについて解説します。
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頚椎症性脊髄症の病態とは
頚椎症性脊髄症とは、頚椎の中を通る脊髄が何らかの原因で圧迫されることで生じます。
これらの原因となるものは、
・脊柱管狭窄症
・椎間板の変性や圧壊
・靭帯の肥厚
などが挙げられます。
そして、好発部位とされているのは、
①頚椎5-6 ②頚椎6-7 ③頚椎4-5となっています。
最終的には、全頚椎のレベルで生じてしまいます。
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症状は
頚椎症性脊髄症の症状にはどのようなものがあるのでしょうか?
以下のような症状が考えられます。
・肩から上肢にかけての痛みや痺れ
・肩から上肢にかけての運動麻痺や筋力低下
・排尿障害
などですが、症状が強くなれば、上肢だけでなく下肢の麻痺や筋力低下なども生じてきます。
日常生活の中では、手先の細かい作業ができなくなり、ボタンの掛け違いや箸がもてない、歩行が極端にぎこちなくなり、転倒しそうになるなどの症状が出現します。
基本的には、両側性に出現することが多いようです。
手術方法は
頚椎症性脊髄症は、いつ、誰でも発症することがあり、予後も不良な場合が多いとされています。
少しでも症状が出現したら放置せずに受診し、適切な治療を受ける必要があります。
頚椎症性脊髄症に対する根治的な治療方法は、手術療法が推奨されます。
脊髄を圧迫してしまっている脊柱を拡大し、除圧することで症状を緩和するのです。
この時には、ただ除圧するだけでなく、骨を削ったことで不安定となった脊柱を人工物を使って固定することが同時に行われます。
手術の効果は、術前の重症度などにもよりますから一概には言えませんが、痛みや痺れの軽減が図られます。
しかしながら、痺れや痛みなどは、無事に除圧と固定が行われたとしても、わずかに痺れなどは残ってしまうケースが多いようです。
頚椎症性脊髄症のリハビリテーションは
頚椎症性脊髄症のリハビリテーションの中には、牽引療法や関節モビライゼーションなどのテクニックもありますが、ここでは、術後のリハビリテーションに限定されていただきます。
リハビリテーションでは、基本的に機能障害を負った下肢や上肢の機能を再び高め、歩行を中心とした日常生活動作の回復を目指します。
ただし、術前にかなりのダメージを負い、運動機能の著しい低下や感覚障害を負った場合は、手術によっても、そしてリハビリテーションで改善することも難しいことが多々あります。
再び、機能回復がなされるように筋力訓練などを行いますが、直接的に歩行などの動作訓練を行うことが多いようです。
補助具の選択などもリハビリの中で、決定していくものです。
また、姿勢や動作方法などの指導によって、再発なども防がなければいけません。
まとめ
今回は、頚椎症性脊髄症の病態や手術方法、そして術後のリハビリテーションなどについて解説しました。
症状はいつ現れてもおかしくなく、そしてその進行の早さにも個人差があるのです。
放置することで手遅れになることも少なからず存在します…
早期発見・早期治療が行えるよう準備をしておきましょう!