「非結核性(非定型)抗酸菌症」とは?原因や症状、治療法とは?
数多く存在する感染症の中で、
「非結核性抗酸菌症(または非定型抗酸菌症)」という感染症があります。
院内で生じた場合に隔離などの対策が必要な感染症なのでしょうか?
「非結核性(非定型)抗酸菌症」とは、
自然環境の中で、土壌や家畜などの動物の体内や水道または貯留槽などに広く生息する抗酸菌の一種です。
現在抗酸菌は、100種類以上の菌が発見されていますが、
その中でも非結核性抗酸菌症は、“結核菌”と“らい病”以外の抗酸菌の総称です。
菌を含んだ水や埃などを体内に取り込んでしまうことで感染すると推定されており、
その多く(70%-80%)はMycobacterium-avium complex(MAC)と呼ばれる菌で占められています。
年々増加傾向にあり、全身のどこでも病変を作る可能性があるものの、とりわけ肺への感染が多く、“肺MAC”などと呼ばれています。
結核菌などと比較して、他者への感染することはなく、
病院などで生じても隔離などの対象とはなりません。
今回は、「非結核性(非定型)抗酸菌症」の原因や症状、治療法などを解説します。
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「非結核性抗酸菌症」の原因は?
「非結核性抗酸菌症」の原因は、
非結核性酸菌への感染です。
日本では、MAC菌が最も多く、感染の約70%-80%を占めます。
慢性閉塞性肺疾患(COPD)や、肺切除後やじん肺、間質性肺炎などの肺疾患を併存している患者に多くかかりやすい特徴を有していました。
しかし最近では、過去に基礎疾患とは無関係の者の感染が増加しています。
また、もともと男性に顕著に認められていましたが、
最近では、中年以降の女性の増加が顕著です。
「非結核性抗酸菌症」の症状は?
「非結核性抗酸菌症」の症状は、
“咳”が最も主要な症状です。
その他の症状では、
・血痰
・痰
・全身の倦怠感
・発熱
・食欲不振
などを認めます。
重症化すると、呼吸困難などの肺症状を認めるため、注意が必要です。
「非結核性抗酸菌症」の治療は?
「非結核性抗酸菌症」の治療法は、
“投薬治療”が中心となります。
結核と比して、まだその治療法が確立したとはいえず、幾つかの薬を併用して服用する必要があります。
それでも全体的な有効例は1/3程度と言われており(中には自然軽快もある)、長く付き合っていく可能性がある疾患と言えます。
まとめ
今回は、「非結核性(非定型)抗酸菌症」の原因や症状、治療法などを解説しました。
人から人へ感染しないため、
自宅で普通に生活することも可能となります。
治療は長期化するため、長く付き合っていく意志が必要となるようです。
院内での感染に注意が必要なのはこちら
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