「ゲルストマン症候群」とは?その症状とは?責任病巣は?
脳卒中を代表するように、
特定の脳部位が障害を受けると、
障害部位が持つ機能に一致する症状が出現します。
その中でも、特異的な症状を呈す病態に
「ゲルストマン症候群」があります。
「ゲルストマン症候群」は、
脳の特定の部位の障害によって生じる一連の症状群です。
脳梗塞、脳出血、脳腫瘍などが引き金となります。
その特徴的な症状として
以下の4つが挙げられます。
・失書
・失算
・左右失認
・手指失認
です。
この4つ全てが現れる場合もあれば、どれか1つだけという場合もあります。
今回は、「ゲルストマン症候群」に関して、その詳しい症状や、責任病巣などについて解説します。
脳血管障害に関する基礎知識はこちら
→脳卒中とは?脳梗塞と脳出血とは違うの?
→脳卒中片麻痺|右片麻痺と左片麻痺の違いは!?
「ゲルストマン症候群」の症状とは?
「ゲルストマン症候群」の症状は、
特徴的な以下の4つが挙げられます。
・失書
・失算
・左右失認
・手指失認
このような症状は、
いわゆる“高次脳機能障害”と言われるものの一つで、
リハビリテーションなどの治療場面でも非常に苦渋する症状の一つです。
失書
失書とは、
“自発的に字を書くことが出来ない”
症候です。
意味のわからない文字を書いたり、
文字の順序を間違ってしまう症状が認められます。
(「テレビ」を「ビレテ」などと書いてしまう)
ただし、写字は比較的良好であります。
自分で意図して書くことが困難なのです。
失算
失算とは、
“暗算や筆算などの計算が出来ない”
症候です。
演算自体が出来ないという症状のほかにも、
数字が読めない、または、書けないといった症状が出現することがあります。
左右失認
左右失認とは、
“左右が分からなくなる”
症候です。
空間における左右だけではなく、
自分の手や足の左右も分からなくなることがあります。
俳優の堺雅人さんが「左右が分からない」ことをテレビ番組で告白し、
“ゲルストマン症候群”の可能性が疑われたことでも話題になった症状です。
手指失認
手指失認とは、
“手の指を正しく認識することが出来ない”
症候です。
示された指が、
親指なのか…中指なのか…
その認識が出来ないのです。
また、指の本数などが分からなくなる症例も存在します。
「ゲルストマン症候群」の責任病巣とは?
「ゲルストマン症候群」の責任病巣は、
“優位半球の角回及び縁上回”
であると言われています。
多くの人の場合、優位半球は左半球となります(95%以上)。
角回と縁上回は、頭頂葉の外側にある脳回であり、
隣の位置関係にあります。
角回は、言語や認知機能に関する情報処理機能を有し、
縁上回は、音韻の系列処理に関する機能を有しているとされています。
まとめ
今回は、「ゲルストマン症候群」に関して、その詳しい症状や、責任病巣などについて解説しました。
脳の神経障害の結果生じる症候群であり、
特別な治療方法はありません。
リハビリテーションなどで、症状を軽減を目指していきますが、残存する場合もあり、日常生活や社会復帰などを目指す場合には、
周囲の人間の症状に対する理解が重要となります。
脳血管障害に続発する特異的な症候はこちら
→ワレンベルグ症候群(延髄外側症候群)の病態やリハビリテーションとは?