小脳出血に頻発!失調症状とは!?リハビリ方法は?
2016/11/22
脳卒中の分類である脳出血は、脳の中にある血管が破れ、脳内で出血を起こすことです。
出血を起こし、充満した血液が脳の組織を圧迫しますが、圧迫された部位によって様々な症状が現れます。
その中でも「小脳出血」は脳出血全体の約5%を占めています。
小脳出血には、日常生活活動を脅かす、特有の症状があるのをご存知ですか?
「小脳」は、脳の中でも、後方下部に存在し、左右に一つづつ、半球を持ちます。
「小脳出血」は、そのいずれか、または両方の小脳に栄養を供給する血管が破れ、出血した場合に生じるのです。
脳出血全体の中では、およそ5%を占めると言われています。
→脳出血の好発部位は?部位ごとによる症状の違いはある?
小脳出血では、脳卒中後遺症特有の運動麻痺は軽度な場合が多いのですが、運動麻痺とは区別される小脳特有の症状があるのです。
そのような症状を「失調症状」と呼びます。
失調症状は、「運動課題の遂行に際し,複数の筋と関節を調節して運動を行う協調性が欠如した状態」と定義されます。
※本記事では運動の際に生じる「運動失調」に焦点を当てて述べています。
そのため、歩行などの日常生活動作においても、この失調症状により、動作が困難となる例も少なくありません。
そこで今回は、小脳出血に頻発する失調症状について焦点を当てて、そのリハビリテーション方法なども解説します。
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失調症状とは
失調症状とは、小脳およびそれと密接な連絡をもつ脳幹・脊髄の障害によって生じます。
「運動課題の遂行に際し,複数の筋と関節を調節して運動を行う協調性が欠如した状態」と定義されますが、手足だけでなく、胴体である体幹に生じることもあります。
実際の生活場面における症状では、
・手や足を動かすと、大きく揺れてしまい、物に上手に手が伸ばせない
・単純な手足の反復運動がぎこちなくなる
・立っているだけでもグラグラと揺れている
・歩いている時の歩幅のコントロールができない
などなどが挙げられ、運動はできるのに、上手にコントロールできない状態なのです。
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失調症状に対するリハビリテーションは
失調症状に対するリハビリテーションの方法として、以下のものが推奨されています。
・フレンケル体操(繰り返し行う反復運動)
・弾性包帯緊縛法(腹帯を巻くなどして失調症状の抑制を図る)
・固有感覚受容性神経筋促通手技(PNF法)
・重錘負荷法(手足の遠位部に重錘を負荷し、コントロールしやすい状況を作る)
いずれの治療法も失調症状を完治させるものではありません。
失調を軽減させた中で、
運動や動作を繰り返し、望ましい運動や動作パターンを実現することで、本来の動作に必要な筋力の獲得を目指すのです。
一概に、失調症状があるから、歩行獲得が難しいわけではなく、その症状の重症度は、出血した血腫の大きさや部位によって様々です。
また、失調が残存している状態でも、適切な歩行補助具の選択などを行うことによって歩行自立が可能となる例も決して少なくありません。
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まとめ
今回は、小脳出血に頻発する失調症状について焦点を当てて、そのリハビリテーション方法なども解説しました。
「手足は動かせるのに、思ったように動かせない」
というのは、やるせなく、思いのほか辛い症状であると思います。
失調症状のリハビリのように、身体の使い方を再習得する過程は、必ずしも病院のリハビリだけで完結するものではなく、長期的な視点で改善を目指していく必要があると思います。