脳卒中の合併症とは?怪我や痛みなど…!リハビリの制限因子になる!?
2016/01/27
脳卒中を発症すると、運動麻痺や感覚障害などの、脳の機能に依存した障害や後遺症が生じます。
そのことによって、日常生活動作能力が低下します。
さらに、それだけでなく、様々な合併症を併発するので注意が必要です。
「脳卒中」は、主に糖尿病や心疾患などに続発、併発しやすく、動脈硬化や脂質異常はそのリスクファクターとされています。
当然ながら脳卒中になる人は、糖尿病にも、心疾患にもなりやすい人ということです。
しかしながら、原因を共にするような疾患の合併だけでなく、脳卒中後に特有の合併症もあるので注意が必要です。
脳卒中治療のガイドライン(2009)によると、脳卒中後30か月の観察期間において、
・脳卒中再発
・痙攣
・尿路感染症
・呼吸器感染症
・その他の感染症
・転落
・褥瘡
・深部静脈血栓症
・肺塞栓症
・肩の痛み
・その他の痛み
・うつ状態
・不安
・感情失禁
・錯乱
などが挙げられています。
様々な感染症から、怪我や痛みなど多岐に渡る合併症が知られています。
そこで今回は、この中でリハビリなども制限してしまう幾つかの合併症をピックアップして紹介します。
脳卒中に関する記事はこちら
→脳卒中とは?脳梗塞と脳出血とは違うの?
→脳卒中の前兆とは|しびれや脱力が生じる!?
脳卒中の合併症
以下に一つづつ、脳卒中後に合併しやすい疾患について紹介します。
いずれも重症脳卒中後に生じやすく、また高齢者ほど発症しやすいようです。
脳卒中の再発
脳卒中後には、脳卒中になりやすいのです。
当然脳卒中になったリスクファクターが改善されなければ、再び脳卒中を繰り返すのは当たり前ですよね。
脳出血や脳梗塞においても、
10年たてば2人に1人が再発するという恐ろしいデータも存在しています。
また、一回目よりも二回目の方が日常生活動作の障害も大きくなることがあるので要注意です。
詳しくはこちらの記事を御覧ください!
→脳卒中は再発しやすい?再発率は?予防や対策は?
転倒や転落
脳卒中後は、動作能力の問題だけでなく、高次脳機能障害、認知機能障害など様々な障害が生じます。
→高次脳機能障害とは|失語・失行・失認|リハビリでの回復は
今までに自分が動いていたイメージで動いてしまえば、当然身体がついてこないので、転倒してしまうことが多くなります。
もちろん、入院している施設ではそのような対策は取っているのですが、それでも防ぎきれない転倒が少なくなく、怪我などの合併症を引き起こします。
→大腿骨頸部骨折|手術方法は|術後のリハビリテーション
褥瘡
褥瘡とは、いわゆる「床ずれ」のことです。
皮膚の持続的な圧迫によって、組織の血流が減少し、虚血状態に陥ると、低酸素状態が生じ、いずれ組織の壊死につながります。
脳卒中後は、その運動障害から不動に陥り、寝たきりになってしまうこともあります。
→廃用症候群とは!?原因や予防方法は?リハビリで治る?
さらに、感覚障害の影響が加味して、痛いにも気づかず徐々に圧迫が進行してしまうことがあります。
特に低栄養状態にある、痩せた高齢者に発生しやすく、骨突出部の踵や坐骨、仙骨部などは要注意です。
肩の痛み(肩関節亜脱臼)
脳卒中後はとりわけ肩の疼痛が生じやすいです。
肩は、運動の自由度が大きい分、骨による安定性に乏しく、主に靭帯や筋によって安定性が保障されます。
しかしながら、脳卒中による筋緊張の低下は、このような関節の安定性を容易に破壊するのです。
肩関節亜脱臼と呼ばれ、肩関節を構成する上腕骨と、肩甲骨の肩峰との隙間が異常に広がってしまうのです。
そのような状態で無理に動かそうとすると、異常な関節運動により、周囲の組織を破壊し疼痛を生じるのです。
通常は、これらの隙間は、1横指程度と言われますが、その倍の2横指程度空いているようであれば亜脱臼の状態といえるでしょう。
肩関節亜脱臼のに関する詳しい記事はこちら
→脳卒中片麻痺に合併しやすい「肩関節亜脱臼」とは?原因や治療法はある?
脳卒中後のリハビリに関する記事はこちら
→脳卒中片麻痺|装具の種類や適応は?
→脳卒中後遺症にボツリヌス療法|その効果や料金は?
うつ病
脳卒中後には、決して身体に生じる合併症だけではありません。
脳卒中後には、「うつ病」になりやすいと言われています。
その発症率は、報告によってまちまちですが、約20〜40%程度の患者さんに発症すると言われています。
自分の身体や周囲の環境、職場の関係性や、将来の人生設計etc…
考えるだけで精神的に参ってしまうのは、ある意味当然のことです。
また、うつ病なのか、脳卒中からくる症状なのかの見分けがつきにくいこともあるため、詳細な観察が必要です。
まとめ
今回は、リハビリなども制限してしまう脳卒中後の幾つかの合併症をピックアップして紹介しました。
その多くは、施設や家族による適切な管理にて防げるものが多いです。
ただ、合併症の原因も様々なものにオーバーラップしているため、一つにかかると、また他のものにかかるなど、負のスパイラルが働いてしまうことがあるのです。
そのようなものを断ち切るためにも、家族の協力はもとより、適切な医学的管理を受ける必要がありますね。