「慢性硬膜下血腫」症状や手術方法は?後遺症は残る?
慢性硬膜下血腫という疾患をご存知ですか?
軽微な打撲などで受傷することがありますが、気が付かずに放置すると重篤な症状の出現や、後遺症を残すこともあります。
「慢性硬膜下血腫」とは、頭蓋骨の内面にある硬膜と大脳の間に血腫がたまることです。
受傷機転としては、転倒や軽微な打撲などが主なものです。
そのような衝撃によって出血を起こすと、微量づつですが、徐々に徐々に血腫がたまっていきます。
急速に、そして大量に出血するわけではないので、症状も出現するのが遅いのです。
そのため、気がつかない、または何もなかったと思い、受診もせずに数週間後に症状が現れることが非常に多いのです。
「慢性硬膜下血腫」は、脳の障害であるので、放置して症状が重くなると、脳卒中と似た様な後遺症を残すために注意が必要です。
そこで今回は、「慢性硬膜下血腫」の症状や手術方法、後遺症などについて解説します。
脳卒中に関する詳しい記事はこちらを参照ください。
→脳卒中とは?脳梗塞と脳出血とは違うの?
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「慢性硬膜下血腫」とは?
慢性硬膜下血腫は、脳の内側にある硬膜と脳の実質との間で出血が生じ、徐々に蓄積することで血腫ができる状態のことを言います。
この血腫によって、大脳は圧迫を受け、様々な症状を呈すのです。
多くは、50-60歳以上に好発する特徴があります。
これは、軽微な転倒などと関連があるからです。
明確な頭部外傷もなく、症状もすぐには現れないため、受診もせずに数週間経ってから症状が現れるということが非常に多いのです。
CTやMRIなどの診断では、非常に特徴的であり、三日月型の描出となっているのです。
転倒に関連した疾患の情報はこちら
→大腿骨頸部骨折|手術方法は|術後のリハビリテーション
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慢性硬膜下血腫の症状は?
慢性硬膜下血腫の症状の出現は、数週から数か月と言われます。
それだけ、微量づつゆっくりと血腫が蓄積するのです。
代表的な初期症状としては、
・頭痛
・吐き気
・嘔吐
などの、いわゆる「頭蓋内圧亢進症状」が出現します。
さらに、大脳自体の圧迫の程度によって、
・半身の麻痺(片麻痺)
・感覚障害や痺れ
・言語障害
・意識障害
・認知症症状
などが出現します。
これらは、程度は違えど脳梗塞や脳出血などの脳卒中と同様の症状が生じます。
脳卒中に関する詳しい記事はこちらを参照ください。
→脳卒中の前兆とは|しびれや脱力が生じる!?
→脳出血の好発部位は?部位ごとによる症状の違いはある?
慢性硬膜下血腫の治療は?手術が必要?
治療の方法は、血腫の量などによっても異なります。
血腫が少量で症状も軽微であるならば、血腫自体が自然吸収される可能性もあるため、経過観察となることがあります。
いわば、自然治癒を待つということですね。
反対に血腫が多量で、症状が重い場合には、手術療法が選択されます。
頭蓋骨に小さな穴を開け、穿頭血腫除去術または穿頭血腫ドレナージ術を行います。
経過が良ければ、症状も軽快し、1〜2週間程度での退院も可能となります。
後遺症は残る?
慢性硬膜下血腫は、血腫の量によって脳が圧迫されることで症状が出現します。
そのため、手術療法などによって、血腫が除去されれば基本的に症状は軽快します。
約10%程度に再発があると言われますが、比較的予後が良い疾患です。
しかしながら、血腫が存在していた時間が長かったり、症状が重度であった場合、軽い後遺症を残すことがあったり、片麻痺症状や認知症症状が出現することによる、合併症などには注意が必要です。
脳卒中の後遺症に関する詳しい記事はこちらを参照ください。
→脳卒中の後遺症「半側空間無視」とは?リハビリ方法は?
→くも膜下出血とは?前兆症状はあるの?原因や後遺症は?
まとめ
今回は、「慢性硬膜下血腫」の症状や手術方法、後遺症などについて解説しました。
軽微な転倒や打撲で生じるため、なかなか気がつかない疾患です。
当然ながら、「症状がないから受診はしない」というのは当たり前かもしれません。
ただし、このような疾患があることを念頭に置いて、その後の生活でのわずかな変化を見逃さずに早期発見・早期治療に努めましょう!