脳卒中片麻痺|右片麻痺と左片麻痺の違いは!?
2016/06/19
日本でも多くの人が脳卒中の後遺症である片麻痺に悩まされています。
片麻痺(かたまひ、へんまひ)とは、一側性にみられる上下肢の運動麻痺のことを言い、いわゆる半身不随の状態です。
脳卒中に関する記事はこちら
→脳卒中とは?脳梗塞と脳出血とは違うの?
一側性であるということは、右もしくは左、いずれかの身体に障害が生じるわけです。
右身体の片麻痺を「右片麻痺」
左身体の片麻痺を「左片麻痺」
というわけですが、これらには、違いがあるのでしょうか!?
日本人は右利きが多いから右手が残った方が良いんじゃないの!?
なんて短絡的に考えてしまいがちですが、
右片麻痺と左片麻痺の間には、大きな違いが存在するのです。
そこで今回は、右片麻痺と左片麻痺の違いについて解説します。
片麻痺に関する記事はこちらもどうぞ
→脳卒中片麻痺|装具の種類や適応は?
→片麻痺|脳卒中後遺症|痺れの原因は?治る?
大脳半球の左右差
大脳半球は、左右に一つづつ存在しており、それぞれ反対側の身体の運動や感覚を制御しています。
なぜ、反対かというと、大脳皮質から身体へとつながっている神経路が、ある部分で交差しているためです。
そのため、
右の脳に出血や梗塞が生じた場合、左の身体に運動麻痺や感覚障害が生じます。
左の脳に出血や梗塞が生じた場合、右の身体に運動麻痺や感覚障害が生じます。
まずは、どちらの脳が受傷したかによって右片麻痺か、左片麻痺かが決まるわけですが、運動麻痺や感覚障害などの程度の重さに左右の違いはあまり影響を受けません。
大脳半球における優位半球と劣位半球
大脳皮質には、先ほど説明した運動や感覚以外にも、多様な働きがあります。
そして、その働きにこそ左右差が存在しているのです。
まず、大脳半球は、優位半球と劣位半球と呼ばれる側が存在します。
一般に右利きの人のほとんどが、
左が優位半球で、右が劣位半球と言われます。
反対に左利きの人は、左右半々であると言われています。
右利きの人が多い日本人は多くの人が左が優位半球、右は劣位半球となります。
それぞれの半球の特徴は以下のとおりです。
左半球(優位半球)
・発話
・言語的理解
・計算
右半球(劣位半球)
・空間的能力
・直感的能力
・音楽的能力
右片麻痺と左片麻痺の違い
左右の大脳皮質の違いは理解できましたでしょうか!?
つまり、各半球の持つ機能に依存した後遺症が出現するのです。
例えば、以下のような後遺症が出現します。
優位半球である左半球が損傷される【右片麻痺】では、
・失語症
・計算障害
・失認
・書字障害 etc
この中でもとりわけ出現頻度が高いのが、【失語症】です。
失語症は、脳の言語中枢が損傷されることによって生じる「聞く」「話す」「読む」「理解する」などの言語的機能が障害された状態です。
実際には、構音障害がないのに、「思った言葉が出ない」、流暢に話しはできるのに「内容を理解できない」などの症状の呈します。
劣位半球である右半球が損傷される【左片麻痺】では、
・半側空間無視
左片麻痺の特徴とも言えるこの【半側空間無視】は、文字通り、半側の空間を無視してしまう症状です。
とりわけ、左半分の空間を見えているにも関わらず、まるでないもののように無視してしまうのです。
実際には、左においてある障害物にぶつかる、食事の際に左半分を食べずに残してしまうなどの症状を認めます。
半側空間無視に関する情報はこちらをご覧ください!
→脳卒中の後遺症「半側空間無視」とは?リハビリ方法は?
左片麻痺と右片麻痺の具体的な違いを解説しました。
しかしながら、必ずしもこれらの症状が出るわけではありません。
それぞれの半球の中でも限局した部位にこれらの機能が存在しているので、運良く障害を免れることもあります。
まとめ
今回は、右片麻痺と左片麻痺の違いを具体的な症状を見ながら解説しました。
右片麻痺では、失語症
左片麻痺では、半側空間無視
を生じるのが特徴でした。
どちら側の障害が良いとか、悪いとかではなく、生じた障害を正しく理解し、
どのように日常生活や社会生活に適応させていくかが大きな課題となります。
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→片麻痺|姿勢の特徴とは!?
→脳卒中片麻痺の回復過程とは?プラトー(天井)はあるのか?