「回想法」とは? 認知症の進行を防止する!
2016/12/10
高齢化社会に突入している日本にとって、
認知症とは、社会問題として重要視されています。
2012年において全国の認知症高齢者の数は、推定で約462万人とされています。
さらに、厚生労働省が2015年に出した推計値では、
2025年には2012年の約1.5倍である700万人に増加する見込みだといいます。
まさか、自分の親が…
自分の妻や夫が…..認知症になるなんて….
なんて思いますが、非常に身近な問題となっています。
認知症は、いくつかのタイプがあり、遺伝や生活環境など様々な要因によって発症します。
アルツハイマー型認知症に関する記事はこちら
→アルツハイマー型認知症
もし、発症してしまったらどうすれば良いのでしょうか!?
今注目されている認知症の進行を防止する方法として「回想法」が注目されています。
そこで今回は、認知症の進行を防止する「回想法」とは、どのようなものなのかを紹介します。
「認知症」に関する記事はこちら
→「認知症」の定義とは?代表的な検査法は?何点からが認知症?
回想法とは
回想法とは、どのようなものなのでしょうか。
回想法は、アメリカの精神科医ロバート・バトラーが提唱した心理療法です。
端的に説明すると、
過去の懐かしい話を思い出して語り合ったり、
それを誰かに話したりすることで、精神を安定させる効果が期待できます。
大事なことは高齢者の人生を肯定的に振り返ることです。
高齢者だけでなく、介護スタッフや周りの方にもその人をよく知ることでこれからの介護に生かすことができるのです。
さらに、これを長く続けることで、認知機能が改善することも明らかになり、日本でもリハビリテーションの一環として取り入れられるようになりました。
また、多くの介護施設でも取り入れられるようになりました。
認知症といっても、新しいことや最近の記憶が忘却しているだけで、過去の古い記憶やエピソードは残っていることが多いのです。
回想法の具体的な方法
回想法の具体的な方法ですが、以下の二つに分けられます。
・個人回想法
・グループ回想法
個人回想法は1対1のマンツーマンで行う方法で、
グループ回想法は6人から8人で行う方法です。
これは、介護施設などのマンパワーによって決められますが、グループで行うメリットとして、様々な世代の人たちが参加でき、交流できるという利点があります。
ここで少し、【グループ回想法】の具体的な方法を説明します。
・6人から8人ほどのグループを作る
・参加者以外に、リーダーを1人、サブリーダーを1人決め、参加する
・回数やテーマの設定は、なんでも良いのですが、初対面であれば出来るだけ楽しい話が良い
具体的なテーマとしては、小さい頃の遊びや、住んでいた場所、学校での思い出などがあります。
終了後には毎回、セッションを振り返り、個人記録などをつけるようにすると良いです。
回想法の注意点
回想法を実施する際に注意しなければならないポイントがあります。
それは、参加する高齢者にネガティブな感情を抱かせないような空気感を作ることです。
実際には、否定的な返答をしたり、話を遮ったりしないことです。
全てを聞き入れ、受け入れる姿勢が重要になります。
まとめ
認知症の進行を防止する方法として「回想法」を紹介しました。
現代では、薬などで進行を防止する方法が一般的です。
回想法においても同様の効果は指摘されていますが、
介護される側と介護する側がアクションを通して相互作用し、お互いをよく知ることはある意味、認知症自体を予防することよりも大事なことかもしれません。
介護施設だからできることではなく、自宅での何気ない会話でも高齢者のこういった話を引き出していくことが大事なのかもしれません。
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