「脳血管性パーキンソニズム」って?パーキンソン病と違う?その特徴や症状とは?
“パーキンソン病”という疾患をご存知でしょうか!?
手足の震え(振戦)や姿勢反射障害を症状とする神経系の難病です。
このパーキンソン病と似たような疾患に、
「脳血管性パーキンソニズム」があります。
「脳血管性パーキンソニズム」とは、
“多発性に生じた脳梗塞により、運動機能が障害され、パーキンソン病と似た症状が現れる病態”
を言います。
脳梗塞とは、ご存知の方も多いと思いますが、
動脈硬化や糖尿病などが原因となって、脳の血管が狭窄したり閉塞することで生じる疾患であり、
後遺症として、いわゆる片麻痺と呼ばれるような運動麻痺を呈することが多い疾患です。
脳梗塞に関する情報はこちら
→脳卒中とは?脳梗塞と脳出血とは違うの?
→脳卒中片麻痺|右片麻痺と左片麻痺の違いは!?
このような脳梗塞が多発性に生じることで、
パーキンソン病に類似した症状を呈するのが、
「脳血管性パーキンソニズム」ですが、実際にはその病態は異なります。
そこで今回は、「脳血管性パーキンソニズム」とパーキンソン病の違いなどを、それぞれの疾患の特徴とともに解説します。
パーキンソン病とは?
「脳血管性パーキンソニズム」を理解する前に、
まずは“パーキンソン病”について解説します。
パーキンソン病は、神経伝達物質と呼ばれるドーパミンの減少や変性によって、
以下の4つの主症状を呈する疾患です。
・固縮(身体が硬くなる)
・無動(身体が自発的に動きづらくなる)
・振戦(手足が震える)
・姿勢反射障害(バランス不良となる)
歩行に関しては、すくみ足やすり足といった特徴的な歩容を呈します。
これらの症状は時間をかけて緩徐に進行し、
最終的には寝たきりとなり、様々な合併症によって命を落とすこともある難病です。
通常は一側性に発症し、徐々に両側を侵されます。
症状の治療を遅らせる薬物療法や、
運動や生活能力を維持するためのリハビリテーションが治療の中心です。
パーキンソン病に関する記事はこちら
→パーキンソン病とは?症状や治療法は?リハビリは何をする?
「脳血管性パーキンソニズム」とは?
では、「脳血管性パーキンソニズム」とはどのような特徴があるのでしょうか?
脳血管性パーキンソニズムとは、
“多発性に生じた脳梗塞により、運動機能が障害され、パーキンソン病と似た症状が現れる病態”
です。
多発性とはいっても、特に大脳基底核領域の穿通枝の梗塞や、
視床や中脳などの単一病変でも生じると言われています。
脳梗塞に起因することもあり、比較的高齢者が発症する確率が高い特徴があり、
その進行は階段状に悪化します。
症状では、パーキンソン病の4大症状の中でも、
姿勢反射障害が強く認められます。
そのため、歩行などにおいては、足を横に広げて安定を確保する姿勢を取りやすいとされています。
また、振戦は安静時ではなく、特定の姿勢をとった時に生じる姿勢時振戦などが見られます。
治療法なども違うの?
“パーキンソン病”と「脳血管性パーキンソニズム」の症状や特徴などは先に解説しました。
その原因が異なるため、
治療法なども異なる部分があります。
“パーキンソン病”は、薬物療法を中心として、L-ドーパと呼ばれるドーパミンの促進薬が効果を示します。
一方、「脳血管性パーキンソニズム」では、これらの薬の効果はなく、主に脳梗塞再発予防を目的とした薬物療法が中心となります。
しかしながらいずれの病態においても、
“リハビリテーション”において身体機能や日常生活動作能力を維持することが重要であり、
欠かすことの出来ない治療となります。
まとめ
今回は、「脳血管性パーキンソニズム」とパーキンソン病の違いなどを、それぞれの疾患の特徴とともに解説しました。
発症する原因が異なることから、
その症状や治療法も異なることが分かりましたね。
薬物療法はもちろん重要ですが、
リハビリテーションによって、運動機能を維持し、出来るだけ長く日常生活を行えるようにしていく必要があります。
注意が必要な脳梗塞の記事はこちら
→脳卒中といびきの関係は?いびきは発症リスクのある予備軍!
→脳卒中は再発しやすい?再発率は?予防や対策は?