橋梗塞とは?失調は出る?その症状や予後、リハビリ方法とは?
脳梗塞は、脳出血、くも膜下出血とともに脳血管障害に含まれ、
日本の死因第4位に位置付けられます。
その中でも頻度の高い脳梗塞は、
脳血管障害の約6割を占めています。
その症状や予後などは、
脳梗塞を被った部位によって大きく異なります。
今回は、脳幹梗塞に含まれる「橋」という部位に焦点を当てます。
脳梗塞とは、
“何らかの原因によって、脳の血流が閉塞し、脳組織が壊死してしまった状態”
です。
脳血管障害として一括りにされている「脳出血」や「くも膜下出血」とは、
厳密には区別されています。
→脳卒中とは?脳梗塞と脳出血とは違うの?
→くも膜下出血とは?前兆症状はあるの?原因や後遺症は?
脳梗塞と一口に言っても、
梗塞が起きた血管が支配する脳領域に応じた症状が出現するため、
その重症度や後遺症なども様々です。
また、障害された部位によって、
「○○梗塞」と呼ばれることもあります。
今回は、脳幹と呼ばれる生命維持に重要な機能を有する部位の中でも、
比較的頻発しやすい「橋梗塞」について解説します。
「橋梗塞」とは?
「橋」という部位は、
大脳と脊髄の中間に位置する脳幹に含まれます。
脳幹は、大脳に近い方から“中脳→橋→延髄”と並んでおり、
脳幹を経由する多くの神経伝導路が通過するほか、
とりわけ重要なのが、小脳と呼ばれる部位への経路が存在することです。
橋を水平断にして見てみると、
腹側には、運動を司る錐体路(皮質脊髄路)や、
橋核を経由して小脳に情報を伝える経路(皮質橋路)が走行します。
一方で、背側には、
意識や、内側運動制御系と呼ばれ姿勢制御に関与する網様体脊髄路が走行します。
さらに、脳神経核が多数(外転神経核・顔面神経核・三叉神経核・前庭神経核..etc)存在します。
「橋梗塞」では、これらの機能に見合った症状が出現します。
詳細は後述…
橋梗塞の症状とは?失調は出現する?
「橋梗塞」の症状では、
先に解説した橋の機能に応じた症状が出現します。
具体的には、
・運動症状(手足やお腹に力が入らない)
・バランス障害(平行機能障害)
・手足のしびれや感覚障害
・眼球運動障害
・意識障害
・運動失調(力が入らなかったり、グラグラする)
この中でも、
運動失調という症状は、主に小脳の障害で出現する症状です。
麻痺はないのに力が入らなかったり、グラグラと揺れてしまうような動きになってしまいます。
当然、立っていても安定していることが難しい症状です。
この失調症状は、
小脳への経路を有する橋の梗塞においても出現する症状です。
失調に関する記事はこちらを参照ください!
→小脳出血に頻発!失調症状とは!?リハビリ方法は?
橋梗塞の予後は?
「橋梗塞」に限らず、
脳梗塞の予後は、梗塞部位の大きさや治療開始までの時間、さらには年齢などの個人要素によって左右されます。
そのため、症状が重度であれば、
命を落としてしまうものから、リハビリテーションによって機能回復し、
日常生活が問題なく行える者まで様々です。
橋梗塞のリハビリテーションの方法は?
「橋梗塞」のリハビリテーションでは、
運動障害や運動失調に対する機能訓練や、
それらの障害によって能力低下をきたす、日常生活動作、とりわけ歩行を中心とした移動動作に焦点が当てられることが多いです。
適切な運動の促通や、
異常な運動の抑制によって、再び日常生活へ復帰できるようにオーダーメイドのメニューが立案されます。
※リハビリテーションとは、“re(再び)+ habilis(適した)”、
すなわち「再び適した状態になること」を意味しており、
運動を中心とした訓練のみならず、様々な手段を用いてなされる概念であり、必ずしも決まったメニューがあるわけではなく、
個々のニーズや症状に合わせて実施されます。
まとめ
今回は、「橋梗塞」の症状や予後、リハビリテーションなどについて解説しました。
早期発見、早期治療が後遺症を含めた予後を大きく左右することになります。
気になる前兆症状などはこちらを参考にして見てください!
→脳卒中の前兆とは|しびれや脱力が生じる!?
→一過性脳虚血発作(TIA)ってどんな病気?脳梗塞の前兆!?
脳卒中の治療方法はこちら
→脳卒中後遺症にボツリヌス療法|その効果や料金は?
→脳梗塞の治療法「t-PA」ってどんな薬剤?その適応は?